お酒(アルコール)について考えてみませんか?
慶弔行事や神事、職場の仲間や親しい人たちと楽しんだり、適度に飲むことで食欲増進やストレスを和らげたり、お酒は古来から現代まで我々の生活や文化の一部となっています。しかし、毎日飲みすぎていると、こころやからだに悪い影響を与え、あなたやあなたの大事な人たちの生活を変えてしまうものにもなってしまいます。
自分が飲んでいる量が「節度ある適度な飲酒」となっているのか、一度ふりかえってみませんか?
「節度ある適度な飲酒」とは?…純アルコール量で考えます。
「お酒」といっても、ビール、日本酒、ワイン、ウィスキー…など様々です。これらのお酒を飲んで「酔い」などの効果をもたらすのはアルコールですが、お酒に含まれるアルコールの強さ(濃さ)は千差万別です。アルコールのこころとからだに対する影響は、飲んだお酒の量ではなく、摂取した「純アルコール量」で考えます。
純アルコール量10グラム=1ドリンクと数えます。
「節度ある適度な飲酒」はどのくらいの量?
お酒に強い健康な男性は1日の純アルコール量は20グラム程度(2ドリンク)とされており、お酒に弱い人、女性、65歳以上は半分の10グラム(1ドリンク)が目安です。
お酒に弱い人はアルコール処理能力が体質的に低く、65歳以上になると体内の水分量が低くなり少量の飲酒でも影響を受けやすくなります。女性は男性に比べて体格や肝臓が小さく、体重当たりの血液量も少なのいと、女性ホルモンがアルコールの分解を邪魔してしまいます。
肝臓に負担をかけない量で楽しみましょう。
自分が飲んでいるお酒の量は肝臓に負担をかけない量や飲み方でしょうか?
アルコールは肝臓で分解されますが、肝臓の仕事はアルコールの分解だけではありません。食べたものを体に必要なものにつくりかえたり、体の中でいらなくなったものを便や尿に捨てるためにつくりかえたりと、24時間たくさんの仕事をしています。アルコールが体内に入ってくると、個人差はありますが、肝臓はアルコールの処理を1時間に約7グラムずつしかできません。それ以外は全身を巡り、また肝臓に戻ってきて代謝されます。そのため、肝臓が純アルコール量20グラムを処理するのにも、3~4時間以上はかかっています。また、1日の純アルコール量60グラム(注釈)が肝臓の処理の限界でこれ以上は肝細胞の休む時間が無くなります。1日純アルコール量60グラム以上は多量飲酒となり、これを5年以上続けていたらアルコール性肝障害を起こしてしまいます。
(注釈)肥満の方は1日の純アルコール量が60グラムに満たなくても、女性やお酒に弱い方などは40グラム程度でも、アルコール性肝障害を起こしてしまいます。
あなたが摂取している純アルコール量は?
最近は、製品に純アルコール量が記載されているものもあります。また、下の表を参考にしたり、自分で計算することもできます。
ネットで簡単に計算できます。
おもな酒類の純アルコール量
| 種類 | 度数 | 量 | 純アルコール量 | ドリンク数 |
|---|---|---|---|---|
| ビール | 5% | 1缶(350ミリリットル) | 14グラム | 1.4ドリンク |
| 日本酒 | 15% | 1合(180ミリリットル) | 22グラム | 2.2ドリンク |
| ウイスキー | 43% | ダブル(60ミリリットル) | 21グラム | 2.1ドリンク |
| 缶酎ハイ(ストロング) | 9% | 1缶(350ミリリットル) | 25グラム | 2.5ドリンク |
| ワイン | 12% | グラス1杯(200ミリリットル) | 12グラム | 1.2ドリンク |
ドリンク換算表
アルコール飲料ドリンク換算表 (PDFファイル: 739.3KB)
純アルコール量の計算方法
飲酒量(ミリリットル)×アルコール度数(%)÷100×0.8=純アルコール量
例)50代男性Aさんが、缶ビール1本(350ミリリットル)と日本酒1合(180ミリリットル)を飲んだ日
缶ビール1本:350ミリリットル×5%×0.01×0.8=14グラム(1.4ドリンク)
日本酒1合 :180ミリリットル×15%×0.01×0.8=22グラム(2.2どりんぅ)
この日の純アルコール量は…14グラム+22グラム=36グラム(3.6ドリンク)
この日のAさんのお酒の量は適正量でしょうか…?
アルコールと健康
アルコールにはいくつかの効用があります。「酔い」によって気分転換や心地よい感覚が得られたり、食物の消化をよくするので食前酒として用いられます。また、適量であればHDLコレステロールを増やし、動脈硬化を予防し、狭心症、心筋梗塞などを予防するといわれています。
しかし、純アルコール量が1日男性40グラム(4ドリンク)、女性20グラム(2ドリンク)を超えると生活習慣病のリスクをあげてしまいます。すでに病気がある方は改善しないどころか、悪化させてしまったり、薬を飲んでも効かないこともあります。
また、多量の飲酒を毎日続けることは全身の臓器に障害を引き起こしたりアルコール依存症をきたすこともあります。
アルコールと肥満
飲酒は、脂質異常症、高血圧、糖尿病など多くの生活習慣の危険因子の一つで、肥満とも密接なつながりがあります。
アルコールを代謝していると、脂肪などの栄養素は使われずに蓄積されるため、多量飲酒者はおなかに脂肪がたまってしまい、いわゆるビール腹になってしまいます。また、アルコールによる食欲増進作用や、高脂肪で高カロリーのおつまみによって、アルコールを日常的に飲んで、食事をする方は太りやすくなります。しかし、お酒を飲むために食べないことは本末転倒です。必要な栄養素はとれず、肝臓に余分な脂肪がついていき、肝障害を起こしてしまいます。
肥満の方はお酒を減らすことでおつまみも減らすことができ、摂取カロリーや内臓脂肪を減らすことができます。
肥満解消のためにはお酒以外にも運動や食事も大切な要素の一つです。しかし、一人で運動や食事などに取り組むのは難しい場合もあります。特定健診を受診された方には保健師や栄養士が健診データをもとに一緒に対策を考えていくことができます。
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アルコールと糖尿病
糖尿病は1型糖尿病と2型糖尿病があります。糖尿病全体の90%は2型糖尿病です。2型糖尿病はすい臓から分泌されるインスリンというホルモンの低下や作用不足に、過食(特に高脂肪食)、運動不足、肥満、ストレス、加齢が加わることで、血糖値(血液中のブドウ糖の値)が高い状態が続き、その結果として目や末梢神経、腎臓などの細い血管の障害や脳血管障害や狭心症・心筋梗塞なども引き起こす病気です。
純アルコール量20グラム(2ドリンク)程度、休肝日週2日以上の節度ある適度な飲酒であれば、インスリン感受性を高めたり、善玉のHDLコレステロールを増やして動脈硬化を予防したりして、糖尿病やその合併症の発症のリスクを低下させると考えられています。
しかし、過度な飲酒は肝臓に脂肪を蓄積させ、すい臓からのインスリン分泌を抑えてしまうので血糖値を上昇させてしまう可能性があります。また、糖尿病治療薬(インスリン製剤やインスリン分泌薬)に影響して低血糖や意識障害をおこしてしまうこともあります。合併症や内服薬などがある方は飲酒について、かかりつけ医と相談しましょう。
佐賀県は3人に2人が糖尿病または境界型です。
糖尿病は自覚症状があまりないことが特徴のため、血液検査でしかわかりません。まずは、健診で自分の数値を知りましょう。
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アルコールと肝臓
体内に入ったアルコールの90%は肝臓で分解されるので、肝臓はアルコールの影響を最も受けやすい臓器です。肝臓が多量のアルコールの処理をすると、肝臓に脂肪が集まってしまい、さらに肝臓から脂肪が全身に行きわたらなくなるため、脂肪肝になってしまいます。脂肪肝が進行して肝硬変になると残念ながら断酒しても元の健康な肝臓には戻れません。
肝臓はなかなか症状が出ない臓器なので、症状が出るころにはかなり進行してしまっている可能性があります。しかし、初期の場合は酒をやめれば健康をとり戻せます。
年に1回の特定健診や人間ドックなどで自分の肝臓の状態を確認してみましょう。
アルコールとがん
世界保健機構(WHO)は、アルコールそのものの毒性とアルコールが分解されてできるアセトアルデヒドという毒性の高い物質が、がんの原因に挙げています。
特にタバコも吸う人やお酒に弱い人、野菜や果物が不足している人はリスクが高まります。
がんの早期発見のカギは定期的ながん検診の受診です。
また、減酒や禁酒、禁煙、野菜や果物の摂取が予防につながります。がん検診と一緒に特定健診も受けて、普段のお酒や野菜・果物の摂取量について保健師や栄養士と一緒にふりかってみてはいかがでしょうか。
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アルコールと脳
アルコールの分解や脳神経の活動にはビタミンB1が使われます。しかし、多量飲酒者の場合はアルコールの分解ばかりにビタミンが使われてしまい、脳に行きわたらなくなります。また、多量飲酒をする方は食事をとらないことが多いです。そうすると、からだに必要なビタミンや脂肪が不足し、脳も栄養失調状態となり、脳神経が痩せ細ってしまいます。
お酒を飲めない人もいます!
次のような方にはお酒を勧めないでください。
未成年者
未成年者は、まだからだが完成していません。脳の発達や骨の成長、内分泌系などに対してもより大きい影響があります。大人よりもアルコールの分解は遅く、成人と同じ量を飲んでも未成年者のほうが血中濃度がより高くなり、急性アルコール中毒や臓器に対する悪影響を引き起こしやすいです。大量に飲んだ場合だと、成人に比べてより臓器障害を引き起こしやすく、アルコール依存症にもよりなりやすいことが確認されています。また、お酒の飲み始めが早いほど、将来、事故に巻き込まれたりアルコール依存症になるリスクが高まります。 未成年者とその将来を飲酒の害から守るのは大人の大切な役割です。
妊娠中・授乳中の方
妊娠中の飲酒は、胎児に対し、低体重や、顔面を中心とする形態異常、脳障害などを引き起こす可能性があり、胎児性アルコール・スペクトラム障害といわれます。胎児性アルコール・スペクトラム障害には治療法はなく、唯一の対策は予防です。また少量の飲酒でも、妊娠のどの時期でも影響を及ぼす可能性があることから、妊娠中の女性は完全にお酒をやめるようにしましょう。また、授乳中はアルコールを含んだ母乳を通じて赤ちゃんの成長に悪影響が出る可能性があります。
お酒に弱い方(お酒を飲むと気分が悪くなったり、顔がすぐ赤くなる方)
アルコールを体内で分解するときにできるアセトアルデヒドという毒性の高い物質があります。お酒に弱い方はこれを分解してくれる酵素を持っていなかったり、弱かったりするので、飲酒で顔が赤くなり二日酔いを起こしやすくします。お酒に慣れようとして無理に飲酒するとかえって危険です。アセトアルデヒドには発がん性があるため、お酒に弱い方は食道がんなどのリスクを高めます。
「危険または有害な飲酒」とは?…あなたや、あなたの大事な人の飲み方を確認してみましょう。
アルコール依存症はゆっくりと進行していきます。そのため、依存が作られている途中は自分では気づきません。しまいには、飲酒によって健康・仕事・家族関係などの様々な問題があるにも関わらず、自分では飲酒をコントロールできない状態となります。そのコントロールできない状態がアルコール依存症です。
依存症に至っていない「危険または有害な飲酒」や「多量飲酒」となっている段階で気づき、減酒していくことで、あなた自身やあなたの大事な人の生活を守ることができます。
あなたやあなたの大事な人の飲み方が「危険または有害な飲酒」になっていないか「AUDIT(オーディット)」という簡易検査で知ることができます。
各酒類のドリンク換算については下記ファイルを参考にしてください。
アルコール飲料ドリンク換算表 (PDFファイル: 739.3KB)
お酒を飲みすぎない対処法
お酒の飲み方を変える方法はたくさんあります。自分に合う方法を考えたり、下記の例を参考にしてみてはいかがでしょうか?
お酒を飲みすぎない対処法 (PDFファイル: 658.6KB)
もし、あなたやあなたの大事な人の飲み方で困っていたら…
アルコールの問題は本人が自覚するよりはるかに早く、家族やまわりの人たちが気づきます。早期相談が解決を早めます。
専門の医療機関ではアルコール依存症の治療も行っています。一人で悩まずにご相談ください。
相談先
- 佐賀県精神保健福祉センター 電話:73-5060
- 佐賀中部保健福祉事務所 電話:30-1691
参考・引用
日本医療研究開発機構 DASHプログラム「アルコール依存症予防のための簡易介入プログラム開発と効果評価に関する研究(研究代表者:杠兵文)」