令和6年5月、民法等の一部を改正する法律(令和6年法律第33号)が成立しました(同月24日公布)。こどもの利益を確保するため、離婚等に伴う親権・監護・養育費・親子交流など、子の養育に関するルールが改正され、令和8年4月1日に施行されました。詳細については、法務省ホームページ、こども家庭庁ホームページをご確認ください。
法務省 パンフレット(父母の離婚後の子の養育に関するルールが改正されました) (PDFファイル: 3.0MB)
こども家庭庁 パンフレット(ひとり親家庭のためのみらい応援ガイド) (PDFファイル: 6.0MB)
この民法改正のポイントは以下のとおりです。
親の責務に関するルールの明確化
親権や婚姻関係があるかどうかに関わらず、こどもを育てる責任と義務についてのルールが明確にされました。
こどもの人格の尊重
こどもが心も体も元気でいられるように育てる責任があります。こどもの利益のため、意見をよく聞き、人格を尊重しなければなりません。
こどもの扶養
こどもを養う責任を指します。こどもが親と同じくらいの生活を送れる水準でなければなりません。
父母間の人格尊重・協力義務
こどものためにお互いを尊重して協力し合うことが大切です。 次のような行為は、このルールに違反する場合があります。
- 暴力や相手を怖がらせるような言動
- 他方の親によるこどもの世話を不当にじゃますること
- 特段の理由なく他方に無断でこどもの住む場所を変えること(※)
- 特段の理由なく約束した親子の交流を実施を拒むこと
※暴力等や虐待から逃げることはルールに違反しません。 注)違反した場合は、親権者の指定又は変更の審判、親権喪失又は親権停止の審判等において、その違反の内容が考慮される可能性があります。
親権に関するルールの見直し
1人だけで親権を持つ【単独親権】のほかに、離婚後に父母2人ともが親権を持つ【共同親権】の選択ができるようになります。
親権者の定め方
協議離婚の場合
父母が話し合いによって親権者を父母2人ともとするか、どちらか1人にするかを決めます。
協議が調わない場合や裁判離婚の場合
家庭裁判所が、父母とこどもの関係や父と母の関係などを考慮したうえで、こどもの利益を考えて、親権者を父母2人ともとするか、どちらか1人にするかを定めます。この手続きでは、家庭裁判所は父母それぞれから意見を聴かなければならず、こどもの意思を把握するように努めなければなりません。 虐待のおそれがあると判断された場合やDVのおそれやその他の事情で、父母が共同して親権を行うことが難しいと判断された場合は、家庭裁判所は共同親権と定めることはできません。 ※身体的な暴力を伴う虐待・DVだけとは限りません。
※これらの場合以外にも、共同親権と定めることでこどもの利益を害すると認められるときは、裁判所は必ず単独親権と定めることとされています。
親権の行使について(共同親権の場合)
日常のことは一方の親で決められる
食事や着る服を決めること、短い旅行、予防接種や習い事などは、父母のどちらかで決めることができます。
大切なことは父母2人で話し合う
こどもの住む場所を変えることや将来の進学先を決めること、心と体の健康に大きな影響を与える治療やこどものお金の管理などについては父母が話しあって決めることになります。なお、父母の意見が対立するときには、家庭裁判所で、父母のどちらかが1人でその事項を決められるようにする裁判を受けることもできます。
一方の親が決められる緊急のケース
父母の協議や家庭裁判所の手続きを待っていては親権の行使が間に合わず、こどもの利益を害するおそれがある場合には、日常の行為に当てはまらないケースでも父母の一方が単独で決めることができます。個別の事情にもよりますが、例えば、緊急のケースとしては、次のような場合があります。
- DVや虐待から逃れるために引っ越しなどをする場合
- 病気や怪我などで急ぎの治療が必要となる場合
- 入学試験の結果発表後に手続の期限が迫っているような場合
養育費の支払い確保に向けた見直し
養育費を確実に、しっかりと受け取れる新たなルールの創設や見直しが行われました。
取り決めの実効性アップ
文書で養育費の取り決めをしていれば、支払いが滞った場合にその文書をもって一方の親の財産を差し押さえるための申し立てができるようになります。 (注意)施行後に発生するものが対象です。 なお、佐賀市では養育費確保支援事業を実施し、公正証書等の作成に係る費用の一部を補助しておりますので、ご活用ください。
法定養育費制度の導入(金額を決める前の緊急対策)
離婚時に養育費の取り決めがなくても、取り決めるまでの間、こどもと暮らす親が他方の親へ、こども一人あたり月額2万円の養育費を請求できる制度です。離婚後もこどもの生活が守られるように設けられました。養育費が決まるまでの暫定的、補充的なものです。 ※法定養育費は父母間で取り決めるべき養育費の標準額や下限額を定める目的のものではありません。 (注意)施行後に離婚した場合が対象です。
裁判手続きがスムーズに
家庭裁判所は養育費に関する裁判手続きをスムーズに進めるために収入情報の開示を命じることができることとしています。また、養育費を請求する民事執行の手続きでは、地方裁判所に対する1回の申立てで財産の開示、給与情報の提供、判明した給与の差し押さえに関する手続きを行うことができるようになります。
安全・安心な親子交流の実現に向けた見直し
親子交流や父母以外の親族との交流に関するルールが見直されました。
親子交流の試行的実施
家庭裁判所の手続き中に親子交流を試行的に行うことができます。家庭裁判所はこどものためを最優先に考え、実施が適切かどうかや調査が必要かなどを検討し実施をうながします。
婚姻中別居時の親子交流
父母が婚姻中にこどもと別居している場合の親子交流は、こどものことを最優先に考えることを前提に、父母の協議で決め、決まらない時は家庭裁判所の審判等で決めることがルールとなります。
父母以外の親族とこどもの交流
こどもと祖父母などとの間に親子のような親しい関係があり、こどものために特に必要があるといった場合は、家庭裁判所はこどもと父母以外の親族との交流を行えるようにできます。