この土地で育った、艶やかな新米。米どころ佐賀ならではの豊かさ。

稲穂が黄金色に染まり、新米が食卓に並びはじめる10月。温暖な気候と豊かな水に恵まれた佐賀市では、古くから米作りが盛んに行われてきました。北部の山あいから平野部まで田んぼが広がり、各地で収穫作業が進んでいます。

山間部は収穫が早く、背振山系から流れるきれいな湧き水と、昼夜の寒暖差が大きい環境で育つことで、甘味と弾力のあるお米になります。平野部では有明海由来の粘土質の土が栄養分をしっかりと蓄え、食味のよいお米に仕上がります。土づくりから稲刈りまで、季節を通して田んぼに向き合い、ひとつひとつの工程に手をかけて育てる。その積み重ねが、毎年のおいしいお米につながっています。

炊き立てをそのまま味わったり、海苔をまいたり、旬のおかずと一緒に頬張ったり。新米の季節は、いつもの食卓によりいっそう楽しみが増えていきます。毎日食べるお米がおいしいこと。そんな豊かさが、佐賀の食卓にはあります。

鳥谷良太郎さん(杉山フォーライスクラブ)

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 「うちの米はおいしい」が、小さいころからのあたりまえ

佐賀市富士町杉山地区で米づくりに取り組む、杉山フォーライスクラブの鳥谷良太郎さん。杉山地区は標高約600メートルにある山あいの地域で、棚田には山から流れる水が引かれています。

鳥谷さんにとって、米づくりは小さいころから身近にあるものでした。稲刈りの前には、機械が入りやすいように田んぼの角を鎌で刈る「隅切り」を手伝っていたといい、米作りの仕事を見て育ちました。

「小さいころから、’’うちの米はおいしい’’と言って食べていました」

農家はみんな、自分の家の米が一番おいしいと思っている。そう笑う鳥谷さんの言葉には、長く続いてきた田んぼへの思いがにじみます。

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標高600メートル。杉山の米がおいしい理由

杉山地区の米づくりを支えているのは、昼夜の寒暖差と、山から流れる水です。ゴールデンウイークごろに田植えをし、9月の初めごろには収穫を迎えます。標高が高いため、平地とは気温の変化も違います。育てているコシヒカリは粒がやや小さめで、じっくり育つことで、うまみが出てくるといいます。

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おいしいお米の裏側にある、たくさんの仕事

米づくりは、田植えや稲刈りの時期だけで終わるものではありません。3月には種もみの準備が始まります。農薬の使用をできるだけ抑えるため、種もみをお湯で消毒し、発芽させ、苗を育てる。苗づくりに失敗すると、その後に大きく影響するため、温度や風通し、水やりにも気を配ります。

田んぼに苗を植えた後も、草刈りや水の管理が続きます。段々になった田んぼの畦(あぜ)を刈る作業は、平地とは違う気を使います。さらに、イノシシ対策も欠かせません。夜や朝に田んぼを見回り、被害が出ないように気を配ります。

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 「また頑張って」の声が、米づくりの力になる

杉山フォーライスクラブは、おいしい米を直接、消費者に届けたいという思いから活動しています。米離れが言われる中で、杉山の米を知ってもらうため、佐賀インターナショナルバルーンフェスタなどにも出店し、自分たちの手で販売してきました。

イベントでは、試食用のごはんも用意します。炊く水によって味わいや食感も変わるため、杉山の水を持って行って炊くこともあるそうです。

鳥谷さんがうれしいのは、「山の農作業は大変でしょう」「でも山の米はおいしいけん、また頑張ってください」と声をかけてもらうこと。草刈りやイノシシ対策、水の管理。そうした手間を分かってくれる言葉が、次の年も頑張ろうという気持ちにつながっています。

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先祖から受け継いだ田んぼを、これからも

杉山地区でも高齢化や後継者不足は進んでいます。これまでそれぞれの家で守られてきた田んぼを、杉山フォーライスクラブのメンバーが担う場面も、少しずつ増えてきているそうです。

「先祖から受け継いできた土地を守っていく」

鳥谷さんは、米づくりを特別なこととして語るのではなく、続いてきた土地と暮らしの延長として話します。杉山の棚田で育った米は、山の水と寒暖差の中で育ち、作り手の手を通って、食べる人のもとへ届きます。

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毎日の食卓に並ぶ一杯のごはん。その向こうには、春の苗づくり、夏の草刈り、秋の収穫、そして田んぼを見回る人の姿があります。鳥谷さんの話を聞くと、いつものごはんの見え方が、少し変わってくるように感じました。

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