見渡すかぎりの空。ゆっくりと流れる今日だけの景色。

セミの声が響きはじめ、夏らしさを感じる7月。ふと顔を上げると、そこには遮るもののない、抜けるような青が広がっています。佐賀市は平野が広がっているぶん、空と大地が並ぶようにどこまでも続いている。見上げるというより、まさに「見渡す」という言葉がぴったりの景色です。柔らかな朝日に始まり、日中は白い入道雲や遠くをゆく飛行機が悠々と通り過ぎ、夕方になれば刻一刻と色彩を変えていく夕日のグラデーション。いつも違う表情で私たちを迎えてくれる、今日だけの景色がそこにあります。

子育ての合間や、日々の仕事に追われて少し疲れたとき。ふと目に入った美しく広がる空に心が救われたり、張り詰めていた気持ちがすっと軽くなったりする。ゆっつらーとした心地よい時間が、この空の下には流れています。

いつでも深呼吸させてくれる大きな空が、見ようとさえ思えばあたりまえのようにすぐそばにある。それこそが、私たちがこの街で暮らす、何よりの豊かさなのかもしれません。

久我秀樹(久我写真事務所 写真家)

久我写真事務所の久我秀樹さんは、佐賀市を拠点に活動する写真家です。佐賀インターナショナルバルーンフェスタでは、長年にわたり公式カメラマンとして、佐賀の空に浮かぶバルーンの姿を撮影してきました。

久我さんが写真と関わり始めたのは、小学生のころ。夏休みの宿題で昆虫の標本を作ることになったとき、生きものを記録する方法として、お父さんのカメラを借りて写真を撮ったことがきっかけだったそうです。昆虫を生きたまま写真に収め、観察日記と一緒にまとめる。その体験には、後の写真家としてのまなざしにつながる、「今あるものを残したい」という思いがありました。

久我さんが写真を撮るときに大切にしているのは、その瞬間を残すことです。写真は「記憶の引き出しの取っ手」のようなもの。写真があることで、そのときの時間や気持ちを思い出すことができるといいます。その思いは、17歳のころから撮り続けている家族写真にも表れています。正月に家族が集まるたびに撮る集合写真は、年月とともに少しずつ顔ぶれが変わっていきます。変わっていくからこそ、その時々の姿を残しておきたい。久我さんにとって写真は、平和な時間や幸せな時間、人の愛情を残すものでもあります。

(C)久我秀樹

バルーンの撮影では、風の流れ、バルーンの位置、地上の風景、競技の進行、そしてパイロットとのコミュニケーションが一枚の写真に関わってきます。空から見るバルーンの風景は、地上から見るものとは大きく違い、川や田んぼ、まちの形も写真の大切な要素になります。

(C)久我秀樹

日常の中でも、久我さんは空をよく撮影しています。理由は、「今日という日は返ってこない」から。その日を何も残さなければ、何があった日だったのか思い出せなくなってしまう。だからこそ、日々の風景をきちんと存在させてあげたい。そんな思いで、身近な空にもカメラを向けています。

dsaf

佐賀の空の魅力について、久我さんは「広い」と話します。好きな風景のひとつは、佐賀空港から市街地へ向かう道の途中で見る空。田んぼや干拓地の上に広がる空も、佐賀らしい景色だといいます。

特別な名所でなくても、ふと見上げた空が広い。バルーンが浮かぶ日もあれば、何気ない日常の空が心に残る日もある。久我さんの写真は、佐賀の風景の中にある、そんな当たり前の時間を静かにすくい上げています。

この記事に関するお問い合わせ先

総務部 広報課 シティプロモーション室
〒840-8501 佐賀市栄町1番1号 本庁2階
電話:0952-40-7037
ファックス:0952-24-3463
専用フォームで担当課にメールを送る