広い空に色とりどりのバルーン。のんびりとした佐賀の特別なあたりまえ。

澄み渡る青空の下、のどかな田園地帯で農作業を行う人物の傍ら、カラフルなボーダー柄の大きな熱気球が低空を浮遊し、遠くの空にも多数のバルーンが点々と舞う風景を捉えた写真

秋の澄んだ空、ふと気配を感じて顔を上げると大きなバルーンが浮かんでいます。佐賀市では、バルーンフェスタをはじめ、冬や春先にも小さな大会が開催されており、この景色に気づくことも多いのではないでしょうか。このまちで暮らす私たちにとっては、わざわざ見に行かなくても、朝の通勤や通学、畑仕事の手を休めたときにふと目にする風物詩です。

色とりどりのバルーンが風に乗ってゆっくりと進む様子は、どこかのんびりとした佐賀の空にぴったり。近くで見ると迫力がありますが、遠くから見上げるとまるで空に浮かぶ花のようで、いつもの景色とは違った表情を見せてくれます。

耳を澄ませば、時折バーナーの「ゴォーッ」という音が響き、ゆっくりと頭上を通り過ぎていきます。その姿にこどもたちが手を振り、大人も思わず立ち止まって見上げたり、写真におさめたり。何気ない日常の空に浮かぶバルーンは、佐賀市ならではの特別な「あたりまえ」。

季節の移ろいとともに楽しめる空の風景は、私たちの心を気づかないうちに豊かにしてくれる気がします。

にしくぼまさよ(一般社団法人佐賀バルーンフェスタ組織委員会)

背後の棚に多くの表彰状やバルーンフェスタ関連の資料が並ぶ室内で、バルーンのブローチを胸に付けた笑顔のにしくぼまさよさんを写した写真

佐賀市の秋を彩る一大イベント、佐賀インターナショナルバルーンフェスタ。毎年10月末から11月頭に開催され、毎年多くの人々を魅了しています。その競技面の運営を担うのが、一般社団法人佐賀バルーンフェスタ組織委員会。にしくぼまさよさんはプレス担当として長年携わられています。バルーンフェスタとの出会いは、2016年に開催された熱気球世界選手権がきっかけでした。海外の選手が多数参加する中、英語のコンテンツが必要となり、友人からお誘いを受けたのです。

屋外のテント内で、マイクを持ったにしくぼさんとピンク色のカツラをかぶった男性が並んで座り、パソコンや音響機器が置かれた机の前で「ON AIR」の表示灯が点灯している、2023年佐賀国際バルーンフェスタの実況放送の様子を写した写真
赤と白のストライプ模様の熱気球のイラストと「SIBFO」という文字が描かれた、ヴィンテージな看板を捉えた写真

にしくぼさんの本業は、子どもたちへの英会話教室の先生です。彼女自身、学生時代に留学経験があり、言葉が通じなかった時の困難さをよく覚えています。その経験が、子どもたちに自分の言葉で伝えられるようになることの大切さを教えてくれたと彼女は語ります。「英語を学ぶことで、世界中の興味のある分野の友達と繋がることができると知ってほしい」という想いを抱き、日々教室で子どもたちと向き合っています。

黒と白を基調としたスポーツブランドのスニーカーに、赤・青・黄・白の鮮やかな市松模様が施され、さらに熱気球のイラストが描かれたカラフルな靴下を合わせた、足元の個性的なファッションを真上から捉えた写真

バルーンフェスタに向けたメッセージの英訳や、海外の方々への対応、さらにメディアとのプレス対応など、幅広い役割を担うにしくぼさんに、一番の思い出を尋ねると、意外なエピソードが飛び出しました。アシックスの「ゲルサガ」という靴に関するお話です。彼女が翻訳したホームページをアシックスの担当者が見て、特別なバルーンバージョンのゲルサガが誕生したのです。この靴は、バルーンフェスタの会場にも現れ、にしくぼさん自身もその特別なモデルをプレゼントされたとのこと。実際に見せてもらった靴は、バルーンの球皮を思わせる色とりどりのデザインが印象的で、彼女の笑顔がその思い出をより一層引き立てていました。

バルーン大会の表彰状やポスター、関連資料が所狭しと並ぶ事務所で、熱気球のブローチを胸に付けたにしくぼさんが満面の笑みで写っている写真

「笑顔のスイッチ」という言葉を大切にされているにしくぼさん。友人からの紹介でバルーンフェスタに関わるようになったのも、また不思議な縁です。彼女の周りには、意外なところで繋がり合う人々がいて、そのことを知った瞬間には思わず「笑顔のスイッチ」が入ると、楽しそうにお話ししてくれました。

熱気球のブローチを胸に付けたにしくぼさんが、歴代の大会ステッカーやポスターが貼られたガラスドアの前に立ち、穏やかな微笑みを浮かべている写真

バルーンフェスタで特に注目してほしいのは、競技の部分と話すにしくぼさん。パイロットたちは、複雑な風の動きを読み取りながら、目的地に向かっています。公式ホームページには、パイロットの顔写真も掲載されているので、ぜひ自分の推しバルーンや推しパイロットを見つけてみてください。今年のバルーンフェスタでは、美しいバルーンの景色とともに、競技の熱気にもぜひ目を向けてみてはいかがでしょうか。

納富里美(バルーンフェスタ参加パイロットのホストファミリー)

グレーのパーカーを着用し、眼鏡をかけた納富里美さんが話をしている様子を斜めから撮影した写真

佐賀市の秋を彩る一大イベント、佐賀インターナショナルバルーンフェスタ。毎年10月末から11月初めにかけて、多くの人々が集まり、空に舞い上がるバルーンを楽しみます。この華やかなイベントには陰で支えている人々がいることをご存知でしょうか。中でも、世界中から集まるパイロット達を受け入れるホストファミリーの皆さんは欠かせない存在です。その一人、納富里美(のうどみさとみ)さんは親子二代で、バルーンパイロットやクルーをホストファミリーとして迎え入れています。こどものころ、家の上を通るバルーンのバーナーの音で目を覚まし、バルーンを追いかけていた、と語る納富さん。バルーンは昔からとても身近なものだったようです。

広大な田園地帯の上空を飛行する熱気球のバスケット内で、納富さんを含む多国籍な男女10名ほどが、眼下に広がる景色を背景に笑顔で写っている写真

もともとホストファミリーを始めたのは納富さんの実家のご両親、田中家。向かいの家がハンガリーの方を受け入れているのを見て、「楽しそうだ」と、自分たちも始めることに。アメリカ在住のパイロットのデレク・ハンコックさんを受け入れたものの、実は英語が話せず、片言の言葉とジェスチャーでコミュニケーションを取っていたそうです。それでも、同じパイロットの滞在は続き、年々その交流は深まります。今ではその方のお子さんのクリス・ハンコックさんもパイロットとなり、親子での再訪が恒例になっています。今年、初めて納富さんご家族がアメリカを訪問した際には、その方々に観光バルーンに乗せてもらい、佐賀とは違った壮大な景色に感動したそうです。

ゼッケン「76」が貼られた熱気球の編みカゴの中に、大会ロゴ入りのベストを着たスタッフの男性と納富さんがが乗り込み、準備を行っている様子を捉えた写真

佐賀での滞在中は「できるだけ快適に過ごしてほしい」と語る納富さん。スケジュールをしっかり把握し、パイロットたちをサポートすることに気を配っています。食べ物の好みもほぼ分かっているのだとか。バルーンが風の影響で飛べない時には、佐賀の魅力を知ってもらいたいとさまざまな観光地に連れていったりもするそうです。特にパイロットたちが好きだという温泉は、家族ぐるみの心温まる交流の場として大きな役割を果たしています。

夜の屋外で、バーベキューを終えた後、集合した多国籍な男女30名ほどが、笑顔でポーズを決めたり手を振ったりしながら写っている記念写真

ホストファミリーの魅力を尋ねると、「毎年おもしろいことが起こる」と楽しそうに話す納富さん。一昨年、父親がホストファミリーとして最後の受け入れを表明していたが、次の年もこの家に来たいというデレクさんたちの話を聞き、父親に代わってホストファミリーの受け入れを決めたそうです。「1年に一度、バルーンの時期だけに会える存在から、今では家族同然の存在」と言われるように、受け入れから20年以上の年月、その思い出の積み重ねが絆を深める理由なのかもしれません。

ホストファミリーで出会った納富さんと多国籍の男女7名が、親しげに肩を組んだり手を振ったりしながら、和気あいあいとした雰囲気でカメラに向かって笑顔を見せている記念写真

「今後もできる限り受け入れを続けたい」このような方々の協力があるおかげで、バルーンフェスタが長く続けてこられていることを実感しました。ボランティアやホストファミリーとしての体験や、バルーンを通じた国際交流は、思わぬ出会いを生んでくれるかもしれません。ただ空を見上げて楽しむだけではなく、バルーンフェスタの新たな関わり方、魅力を探してみませんか。

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