子育て応援コラム「アタッチメント」 No.30 令和7年12月発行

「翻訳機があれば…」

「翻訳機があれば……」という見出しの下に、怒りや悲しみの表情を見せる人物のイラストと、その深層心理として「本当は安心したいよ」や「ごめんねと言いたい」と願う心臓のキャラクターが対比的に描かれた、言葉と本心の乖離や葛藤を視覚化した手書き風のイラスト

「こどもの気持ちがわからず、自信がなくなってきた。」、「こどもにイライラして当たってしまう。」等、子育てについて、色々とご相談を受けてきました。その際に、「実際どんな時でしょうか?」と、具体的な場面をお伺いしています。

「朝起きて忙しいのに、着替えやトイレなど、今まで自分でできたことが、できない、無理とぐずるようになってきました。」、「園では優しい子だそうですが、家に帰ったら、ほかの兄弟に、ばか、あっちいけ、と暴言吐いたり、手を出したりします。」

「そんな時、どう対応されていますか?」と尋ねると、正直に「私もイラッとして、もう知らない、ママもきらいと言ってしまう。」、「また始まったと思って、無視して家事をしています。」等、正直に話してくださいます。自分のとる言動が子どもに良くないと頭では十分わかっているのに、どうしようもできない苦しさを感じておられます。まさに、子どもも一緒の状態、親子が鏡のようだなあと思います。

人の心を、自分でコントロールできる状態(自己肯定部分)と自分でコントロールできない状態(自己否定部分)とに分けて考えてみましょう。

外側に自己肯定部分がある時は、周囲との関係は良好ですが、一方、内側に隠れた自己否定部分に、周囲の人は気づきにくいのです。悩みを一人で抱え込んでいる状態です。

その反対に、外側に自分でコントロールできない自己否定部分が現れてくると、周囲の人は気づくことができます。周囲から「問題」と称される言動です。しかし、内側には、自己肯定部分が小さく隠れています。問題の言動は、言い方を変えれば、「自分ではどうしようもないよ、お願い、助けてのサイン」です。

自己肯定部分とは、例えば、「本当は、いい子だって親に褒められたい。兄弟とも仲良く遊びたい。」、「それまで何度か我慢しようと頑張ったよ。」、「本当は、ごめんねと謝りたいのにできなくて悲しい。」等という、自らもっと成長したいと願う心です。

もし、自己否定部分が外側に大きくて、自己肯定部分が内側に小さくなってしまっているならば、自己肯定部分を外に大きくしてあげたいですよね。プラスのエネルギーをチャージしたあげたいところです。

こんな時、翻訳機が欲しいですね。「ばか、あっちけ。」→翻訳→「本当は仲良くしたいのに、我慢できずに叩いてしまった。ごめんねと言いたいのに、どうして言えないのだろう。」あるいは「無理、できない、嫌だ。」→翻訳→「本当は安心してチャレンジしたい。喜んで欲しいけど失敗して周囲をがっかりさせたくない。」

翻訳機の言葉を知れば、「不安だったのね。大丈夫よ。我慢できなかったけど次は頑張ろうと思っていたのね。」等と、こどもの健気さに触れ、肯定的な応答もできそうです。言動には直接見えないけれど、こども自身が成長したいと願う心を信じることが翻訳機を手にいれる鍵かも知れません。こどもの隠れた願いを聴き取る翻訳機、大人になっても、サンタさんにお願いしたくなりますね。

佐賀市こども・子育て支援専門アドバイザー 田口香津子

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