日本では有明海湾奥部にのみ生息する幻の魚「えつ」。毎年5月~7月の短い期間に漁が行われますが、繊細な魚であるため、筑後川河口付近(佐賀市では諸富町内が主)の限定的な地域のみで食されています。
この希少な魚の存在を全国に知らしめるべく、佐賀市はプロモーションムービー「佐賀人がひた隠す幻の魚」を公開しました。
エツはカタクチイワシ科の一種。体長30~40センチ。体は銀白色で金色の輝きを持ち、腹から尾に向かって、ぐっと切れ込んだ姿はナイフの刃を思わせます。
中国や朝鮮半島では東シナ海、黄海などに生息しますが、日本での分布は九州の有明海湾奥部に限られ、5月~8月には産卵のため筑後川の上流に遡上します。
漁の解禁時期は毎年、5月1日~7月20日。二隻の漁船の間に網を張り、上流から下流へと川の流れに乗って網を引き上げる「流し刺し網」で捕まえます。 |
エツは小骨が多いため、食べやすくするためには「骨切り」が必要で、一尾あたり両面にそれぞれ約150回包丁を入れます。
エツ料理には刺身を始め、天ぷら、煮付け、塩焼き、寿司などさまざまな調理の仕方がありますが、焼き魚にする場合は火の通りをよくするため、通常、斜めに刃を入れる骨切りに加え、さらにその切れ目に対して直角に刃を入れるそうです。 |
途方もない手間ですが、それでなくても、エツは鮮度が落ちると調理の際に破れてしまうほど繊細な魚。その扱いには料理人の長い経験と円熟の技が要求されます。
えつの糸造り 淡白な味に良く合う。胡麻醤油でいただく刺身。程よい子骨の食感と脂のうま味が楽しめます。。 |
えつの利休焼き 鹿の子状に骨切りを行い、黒胡麻と塩で焼き上げる。香ばしくさっぱりした味わいです。 |
えつの棒寿司 甘酢でしめた身は、小骨の食感をほとんど感じないほど柔らかく、上品な味わいです。 |
えつとアスパラの鳴門揚げ えつの身で、旬の野菜を巻いて揚げた逸品。サクッとした食感と上品な甘みが口に広がります。 |
えつの卵の煮つけ 貴重な卵をシンプルに甘辛く煮て、少しねっとり、ホロホロの食感を楽しめます。 |
えつ漁の解禁に合わせて、筑後川で5月~7月の“3か月間”だけ獲れる幻の魚“えつ”を堪能できる |
秦の始皇帝の命により、不老不死の薬を求めて、蓬莱の島(日本)を目指し、船出した『徐福』。 船20艘を仕立てた数百人の一行は、筑後川下流の佐賀市諸富町に上陸しました。 この地域には今でも珍しい「片葉の葦」が生息していますが、これは上陸の際、徐福があたりに群生する葦の葉を手で払いながら道を進んだためで、なくなったほうの片葉が、えつに姿を変えたという伝説が残っています。 不老不死の妙薬は佐賀市金立町で手に入れたと言われており、諸富町や金立町には徐福にちなんだ地名などが多く残っています。 |