山があり海があり田んぼがある。食べ物が、毎日おいしい。

野菜も、魚も肉も。地元のとれたて食材があたりまえにあるしあわせ。


炊きたてごはんに新鮮なお刺身。生でも美味しい新タマネギや、獲れたてのあまいイチゴ。あたりまえに旬を感じられる食材が手に入り、それが毎日美味しく頂けるのは、どれだけ贅沢なことなんだろう。北は三瀬村、富士町の山間地域、南には有明海をのぞみ、田畑が広がる自然豊かな佐賀市は、たくさんの美味しい食材であふれています。


昭和元年からお店を営まれている「中島商店」さん。たくさんの野菜や果物が溢れんばかりに並んでいます。佐賀県産のものを初めとした旬の食材が手ごろな価格で手に入る、老舗の青果店です。昔ながらのどこか居心地のよいお店は、世代を超えて長く通われているお客さんがいらっしゃいます。

佐賀玉屋の地下にある創業52 年の魚屋「小松鮮魚店」さんは、毎朝嘉瀬町や柳川などの市場まで出向き、近海で獲れた鮮度のよい魚たちをこだわって仕入れています。お店には身がぷりぷりの魚がずらっと並べられていて、佐賀市はもちろん、県内の飲食店や家庭の食卓など、地元の方に愛されている鮮魚店の一つです。

お店の人とコミュニケーションを取りながら、旬の美味しい食材を選んだり、おすすめの調理方法を教えてもらったり。野菜も、魚も肉も美味しさがあたりまえにある生活が佐賀市にはあります。

 

 

池田 直さん(城内2丁目 中島商店代表)

佐賀城公園の北路地を入ると、昔ながらの雰囲気ある八百屋さんが現れます。
お話を伺ったのは池田直(いけだすなお)さん。
中島商店3代目の店主です。創業は100年以上前、代々長男が跡を継ぎ、市民の台所として経営を続けてきました。

朝は3時から動き始め、まずは近隣小学校の給食の野菜を配達します。
それから6時には青果市場で仕入れ。店に戻り、商品を並べ、お得意さんへの配達へ。
「1日15時間くらい働きよっですよ」柔らかな笑顔で池田さんはお話してくれました。

「今(3~4月)の旬は、ほうれん草、タケノコかな。ほうれん草はゴマ和え、白和えがおススメですね。」

毎日配達する学校給食用の野菜。その関わりが一番のやりがいだそう。「こういうのもらったら頑張らないといかん、と思うよ。」子供たちからもらった、お礼の手紙を嬉しそうに紹介していただきました。

お店をしていて感じるのは、地域の皆さんの「人情味」。近所の方も店の中に座り、よく一緒におしゃべりしていたとのこと。
水害や台風で店内が水没したときも、ボランティアの皆さんに助けれらたそうで「そういう方々がいなかったら、店は続けてないかも。人の温かさは忘れてないいけない。」

店内には所狭しと、野菜が並びます。お客さんのために飲み物や日用品もそろっていて、まるで小さなスーパーマーケット。

市場に仕入れに来る青果店も昔は150ほどあったのが、いまは70程度に減ったそう。中島商店は後継ぎの予定があるそうで、これからも愛される青果店として、市民の皆さんのおなかと心を満たしていただけそうです。

 

小松忠雄さん(佐賀玉屋地階 小松鮮魚店店主)

朝10時の“たま地下”ではすでに大きな「いらっしゃいませ~」という声が響き渡っています。声の主をたどると、優しい笑顔を浮かべた、店主の小松忠雄(こまつただお)さんがお出迎え。

「今(取材時、令和7年3月)は、貝類、タイ類、いか類がおすすめよ~」小松さんの一言で、夕飯の献立が決まる人も多い!?

小松さんが鮮魚店で働くことになったのは約50年前。元々、公務員としてお仕事をしていましたが、お子さんが生まれたタイミングで鮮魚店で働くことになり、それ以来、この場所で続けているとのこと。

「魚を見ないことには一日が始まらない」という小松さん。
朝3時に起きて、市場でセリに参加するとこから始まり、そのあと鮮魚店に戻ってきて、配列、夕方まで販売を行うという生活を54年間。

営業を始めた当初数年は、なかなか売り上げが上がらず大変でしたが、少しずつ上がってきたそう。それも従業員の皆さんの頑張りがあってこそ、と感謝の言葉を口にされます。

そんな皆さんとのチームワークは抜群で、和気あいあいで作業が進みます。
お客さんあっての商売なので、ウソをつかないことと、そして鮮度を一番に重視しているそうです。
販売は対面形式。おススメの品などの会話をしながら、私たちの想いがお客さんに伝わった時が一番うれしいと話されました。
地元にある多くの飲食店や個人のお客さんに報えるよう、続けられるまで続けていきたい。
各家庭の食卓を支える、小松さんの魚屋人生はまだまだ続きます。​