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子育て応援コラム(令和6年5月号)

更新:2024年05月13日

子育て応援コラム「アタッチメント」No.15 令和6年5月号

NHK放送局のテレビ番組あさイチ(5月1日放送)とNHKスペシャル(5月4日放送)をご覧になられたでしょうか。どちらも「アタッチメント」が特集のテーマでした。このコラムのタイトルと一緒です。

あさイチでは、《子どもが伸びる!親も楽になる!いま注目「言葉かけのスキル」》、NHKスペシャルでは、《“生きづらさ”に悩むあなたへ》という見出しでした。

アタッチメントは、人が不安な時、特定の対象にくっつくことで安心することを指します。アタッチメントの対象は、親子限定ではなく、困ったときに頼れる人とのつながりであり、健康や幸福になるために重要だと言う内容でした。これまでのコラムで繰り返してきたメッセージがテレビからも流れてきて、このコラムにも応援をいただいたようで、嬉しかったのです。

NHKスペシャルでは、三つのアタッチメントのスタイルが紹介されていました。自分のことを隠す傾向があり、他者との距離を置こうとする《回避型》、人間関係にとても敏感で、相手にどう思われているか常に気掛かりな《不安型》、人と親密に関わる事が容易で信頼を心地よく感じる《安定型》です。これがは、アメリカコロンビア大学教授の恋愛指南書のベストセラーに端を発し、アメリカのZ世代(10代から20代の若者)のSNSで大流行しているのだそうです。興味深かったのは、これは、優劣ではなく、それぞれの心のクセだから、自分や相手のクセを理解していけば、より良い人間関係を築くヒントになると言うものでした。たとえば、「私は、安定型だけど彼は回避型。彼に〇〇と言う言葉は重すぎるから言わない。」等のコメントが流れていました。

こうしたタイプ分けをする大掴みな人間理解の仕方は、わかりやすくて楽しい一面があります。これまでもさまざまな〇〇心理テスト、〇〇占いが流行ってきましたね。相手とのコミュニケーションのきっかけにも役立ちます。

ですが、実際の人間はけっこう複雑な存在ですよね。テレビでも、「安定型と判定されたが、不安型の一面も持っている」等の声があがっていました。誰とどこでどのようにして過ごすかによって、アタッチメントスタイルが変化するのも理解できます。ある人は、学校では、不安型、家族の前では、安定型。その逆もあるでしょうね。

子育て中の皆様にお伝えしたいのは、このアタッチメントスタイルのバランスは、子ども時代に固定されたものではなく、大人になって以降も、困った時に頼って安心できたという経験の蓄積によって、変化可能だと言うことです。

子育てとは、与えられたチャンスではないかと思います。子育てする前は、学校でも職場でも、《人より有能であれ、周りに迷惑をかけるな、責任を果たせ、結果を出せ》と言うメッセージに溢れた社会ではなかったでしょうか。今も同じだと思う方もいるでしょう。

しかし、今は、子育て支援の重要性が広まってきています。《子育ては、一人で完璧にできない、抱え込まないことが大前提。SOSを出せる自分に育てていきましょう。》子育て支援に関わる方々はそのメッセージを常に発信されています。このコラムでも、しつこいくらいに、繰り返し触れてきました。

子育て中の皆様の殆どは、忙しく、心身共にしんどい日々を過ごされていることでしょう。ただ、時には、友人知人とのおしゃべりや身近な人からサポートに救われている事もあるでしょう。それもアタッチメント体験ですよね。誰か特定の対象に(心が)くっつくことで安心できるアタッチメントの機会は、生きる力を与えてくれます。何歳になってもきっと必要なもの。安心を提供する側の人間(保護者・支援者)にとっても必要です。あなたにとって、誰の顔が心に浮かんできますか?不安な時は、連絡して会いに行ってみませんか?

 

こども・子育て支援専門アドバイザー 田口香津子

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