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子育て応援コラム(令和5年10月号)

更新:2023年11月 9日

子育て応援コラム「アタッチメント」No.8 令和5年10月号

細々とですが、保護者に向けての講演後に、その場で質問を受け、子育ての悩みにお答えするという機会を経験してきました。他にも保護者が居られる中で、手を挙げて、自分の悩みを率直に話される姿に、他者への信頼感と切実な困り感を感じていました。短時間でどれだけお応えできるのか、いつもドキドキ。少しでもヒントや見通しがつき安心感を抱いてもらえると良いなと思っていましたが、中途半端な感じで終わった感じも正直ありました。

さて、質問タイムで多かったテーマが、「きょうだいゲンカ」や「きょうだいへの対応の仕方」です。今回は、ゆっくり考えてみたいと思います。

「僕とお姉ちゃん、どっちが好き?」、「きょうだいで誰が一番?」と子どもから尋ねられたことはないでしょうか?「どっちも大好き」、「みんなが一番」と返事された方もいると思います。「そうね、今日の一番は、お手伝いしてくれたお姉ちゃん。明日の一番は誰かなぁ」と軽い言い方で返す人もいます。その場で返事しなくても、他のきょうだいがいない所で、「ママ、◯ちゃん、大好き」と抱きしめる方もいました。

愛情に序列をつけるのは良くないと理性的にはわかっています。でも、率直に言えば、自分の子ども全員をどんな時も等しく好きと言い切れる人は滅多にいません。親も感情の生き物、未熟さを持つ人間です。大人になっていても、自分が一番愛されている実感を求め、自分への愛情や関心は冷めていないか、不安になって、結果的に相手を困らせる行動をとってしまった経験を持つ人もいると思います。親なのに、どこか心は子どものままの部分が残っているなと気づく方もいるのではないでしょうか。

体の栄養源が食べ物ならば、心の栄養源は、広い意味での愛情です。日々摂取する食べ物のように、特定の人からの継続的に安定した愛情や関心を注がれて、健やかに人は育っていきます。それが足りない状況だと争いが起こりやすくなります。食べ物と同じですね。

きょうだいは、まさしく、親からの愛情分配をめぐるライバルという一面から逃れることのできない関係です。きょうだいの数だけ親の愛情の分量が増えていけたらいいのですが、現実は、限られた時間に誰が一番甘えられるか、褒められるかを競い合う日々が待っています。子どもたちは、短い時間でもいい、誰にも優劣を比較されることなく、自分だけをしっかり見てくれている確信を持ちたいのです。ナンバーワンでなく、オンリーワンですね。

きょうだいケンカは、生活を共にする近くて親しい関係だからこそ頻繁に繰り返すものです。きっかけは些細なことが多く、泣き喚き、激しくぶつかっていたかと思うと、ケロッとして再び遊び始め、大人が拍子抜けすることもしばしばです。

親自身も、気にせず放っておこう、様子を見ておこうと余裕を持っていたいのです。ただ、あまりに騒がしく収まらないままだと、次の予定に差し障ったり、周囲の反応が気になったりして、つい、やめなさいと大声で注意してしまいがち。流石に、イライラすることありますよね。日に何度もガミガミ怒る自分を情けなく思う親って珍しくありません。責任感の裏返しだなと思うこともありますが、捉え方次第です。過剰な自己嫌悪から解放されてほしいなと思います。ご機嫌な親であることが子どもにとっても安定につながりますから。

では、年齢(発達段階)に応じた対応の基本を考えてみましょう。3歳未満の子ども同士であれば、衝動性が高いので、親が言葉で注意しても歯止めが効かず、物を投げたり手を出したりして相手に怪我をさせてしまう危険があります。その際は、その場で互いを引き離すなどの介入が要ります。4歳以上同士であれば、相手を叩いたり蹴ったりしてはいけないことなど伝えた上で、子どもたちで止められない場合には、親が仲裁に入る流れにもなるでしょう。

そこです。そこで、「また、お兄ちゃんなのに、妹に優しくしないから」、「どうせ、あなたが意地悪したんでしょう。」等、経緯も知らないうちに、決めつけた言い方を固定化して使っていないか、振り返ってみてください。もし仲裁に入るならば、両者の言い分を等しく聴いてくださいね。親が、どっちが悪いかを必ずジャッジしなくてもいいのです。「じゃあ、どうしたらいいと思う?」と問いかけてもらえば、子どもが考えます。

仲直りの仕方をどう見つけるか、子どもたちが解決の主人公。差別されずに、ちゃんと自分の言い分を聴いてもらえる安心感は、子どもへの心の栄養です。きょうだいの個性はそれぞれ違いますが、どの子にも、自分が大事にされた記憶を残してあげたいものです。

佐賀市こども・子育て支援専門アドバイザー 田口香津子

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