令和5年4月26日
新年度が始まって1ヶ月が過ぎました。入学や進級をして学校や学級が変わったり、仲のよかった友だち、慕っていた担任の先生と離れたりして不安が大きかった子どもたちも、少しずつ慣れてきたころではないでしょうか。
しかし、中には不安なまま毎日を過ごしたり、「五月病」のような状況になって、学校に行き渋りがちになったりする子がいるかもしれません。お父さん、お母さん、おじいさん、おばあさん、また、子どもたちとかかわる機会が多い学校の先生や地域の方などにとっては、「子どものために何とかしてやりたい」と思う反面、「子どもの気持ちも分かるけど、こっちも年度当初で忙しいのに…」と、ついイライラして大きな声を出してしまったり、表情や態度に出てしまったりすることがあるかもしれません。皆さんはいかがでしょうか。
怒りの感情は、抱き続けると自身の心身の健康に悪影響を及ぼしますし、周りの人たちにとっても気持ちのよいものではありません。怒りへの対処法や相手への伝え方などを知って、少しでも気持ちよく過ごせるようになれば、子どもへのかかわり方もおだやかになり、家庭や学校、地域で楽しく過ごすことができると思います。
佐賀市では、毎月、保健師から職員へ、健康づくりに関する【保健師からの一言】というメールが届きますが、3月の内容は、「腹が立つ!その怒りはコントロールできるかも」というものでしたので、これを参考に、怒りへの対処法や相手への伝え方について考えてみました。
1.怒りへの対処法
怒りへの対処法の基本として、「反射的な怒りをやり過ごし、理性が働くまでの約6秒間待つ」ことが効果的だと言われています。
「イライラしているときに、そんなことはなかなかできないよ。」とおっしゃる方もおられることでしょう。しかし、すぐには実践できなくても、繰り返し行おうとするうちに徐々にできるようになっていきます。毎日地道に取り組む「筋トレのようなもの」だと考え、少しずつ取り組んでみましょう。
①1~6までゆっくりと数える…ゆっくりと数えるという行為を行うことで、興奮していた気持ちが少し落ち着いてきます。
②カウントバック…ムカッときたら、怒りの感情をちょっと我慢して100から7ずつ引いていきます(100-7=93、93-7=86というように)。簡単すぎず、考えないと計算できないぐらいにすることが大切です。一時的に怒りを意識の外側へ引き離すことが重要なのです。
③コーピングマントラ…ムカッときたら、落ち着けそうなフレーズを心の中で唱えます。「大丈夫」という言葉でもOKですし、自分の好きな食べ物(焼肉、カレーライス、イチゴ、チョコレートなど)でもOKです。怒りを覚えたときにすぐ思い浮かべられるような言葉を用意しておくと、実践できやすいです。
④深呼吸する…息を吐くときは口から吐き切り、吸い込む時は鼻からたっぷりと。ゆっくりと深呼吸してみましょう。副交感神経を優位にするには有効です。
2.相手への伝え方
怒りは、“自分の判断基準から外れた出来事が起きたとき”に生まれます。自分が思い描いた期待や理想が裏切られたとき、人は怒りを覚えます。
①主役は自分か、それとも相手か…自分を主体として考えると、自分の判断基準から外れた⇒怒り、という図式になります。どうしても相手(子ども)を正したくなったり謝らせたくなったりします。反対に相手を主体として考えると、同じ出来事でも「どうしてそうなったのか」と、物事の背景を考えるようになります。おのずと相手に対しての言葉も“行動の背景を知ろうとする問いかけ”になり、おだやかになるため、相手も心を開きやすくなります。
②お願いごとや頼みごとは丁寧にわかりやすく…何か相手(子ども)にお願いごとや頼みごとをするときも、聞いてもらえなかったら、「どうして聞いてくれない(できない)んだ」と怒りの感情が湧いてきます。ただ、「聞いてくれない(できない)」のではなく、こちらのお願いや頼みが分かりにくくて「聞いてやれない(何をしていいのか分からない)」のではないかと考え、相手にできるだけ丁寧に、正確に、具体的に分かりやすく伝えるように心がけることが大切になります。
今回、「怒りへの対処法」と「相手への伝え方」について具体的な内容を書きましたが、日ごろ、「自分はついカッとなってしまう」と思っている人がすぐに実践するのは難しいかもしれません。しかし、うまくできないからといって自己嫌悪に陥ることはありません。誰だってうまくいかないことはありますし、少しずつ取り組んでいけば、徐々にできるようになると思います。
私たちの言動が少しずつでも変わっていけば、子どももきっと「お母さん(お父さん、おじいさん、おばあさんなど)が優しくなった」「怒らなくなった」「話しやすくなった」と感じるはずです。このことは、家庭だけでなく、学校や地域でも意識したらできると思います。すべての大人が、怒りをコントロールして、子どもたちにおだやかにかかわりたいものですね。皆さんのご理解とご協力をよろしくお願いします。
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