江口邸
江口邸
江口邸は田園の中に建つ大型の葦葺きクド造り住宅です。元は藁葺きでしたが60年前に葦で葺き替えています。庄屋を務めた家で、江戸時代末に建築されたと伝えられています。
複雑な屋根形状が特徴で、南面する正面から見るとL字型の鉤屋に見えますが、北側と東側にコの字型の妻側が見え、方向により見え方が大きく異なります。正面の軒裏は腕木を出して天井を張る「せがい造り」となっており、土間への入り口には引き込みの大戸が残っています。
内部は土間の一部を台所に改修した以外は、当初の間取りと意匠がよく残っています。奥行きの浅い床の間と違い棚がある床脇および平書院が付いた12帖の座敷は長押を回し、床刺しの棹縁天井を張っています。また、隣に4帖の仏間が配されています。全体に柱や梁も上質の材木が使用され、豪農であったことがうかがえます。
正面南側には農作業用の庭があり、その隣の座敷が面する鑑賞用の庭園とは板塀で仕切られる等、農家住宅の典型的な配置を示しています。敷地周囲に繁る樟や槙とともに景観に潤いを与え、佐賀平野の農家住宅の特徴を伝える貴重な建築です。
所在地:佐賀市諸富町為重1363番地
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