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【教育長だより】「心竹」という心の丈を

更新:2017年12月15日

入賞者2     入賞作品

博愛フェスタ「第14回全国博愛絵画展」入賞者  「思いやり」の気持ちを絵画に込めて伝えています。

平成29年12月15日

 先日、年配の方たちの会話の中で、「日向ぼっこしながら仕事ばしよるよ。」ともれ聞こえてきました。久しぶりに聞く「日向ぼっこ」という響きのよい言葉にはっとし、何かしら懐かしさを覚えました。
 この頃になると、外は木枯しが吹き渡り寒さも一段と厳しくなります。お日様が顔を出している日には自然と陽だまりを探すこともあります。小さい頃はよく縁側で、ポカポカ陽気に誘われてついうたた寝をし、幸せな気分になったものです。今では、どの家庭にも暖房が完備され、「日向ぼっこ」の光景は消えつつあるのではないでしょうか。

 毎年12月になると、佐野常民の偉業と生き方に学び、それを後世に伝えんと「博愛フェスタ」が開催されます。それも今年で14回目となりました。
 佐野常民は、1822年に川副町早津江で生を受け、80年の生涯を通して、日本赤十字社の前身である「博愛社」を創設して、今日の日本赤十字社の基礎を築き、世界に名だたる赤十字社へと育てあげました。この功績はあまりにも有名ですが、幕末から明治にかけて、佐賀藩の科学技術の発展にも多くの功績を残しました。また、美術工芸にも造詣が深く、日本美術協会の前身となる「龍池会」を創設し、芸術・文化の発展にも多大なる足跡を残しております。
 このような佐野常民の功績を広く伝えるとともに、次世代教育の拠点施設として「佐野常民記念館」が、2004年10月に開館いたしました。以来、常民が提唱した「博愛の精神」を全国に発信し、その普及・啓発を図ってきているところです。
 しかしながら、子どもを取り巻くいじめ問題や児童虐待等々、また、世界に目を転じますと、その情勢は緊張関係が増し一触即発の感さえあります。今こそ佐野常民の博愛精神を全世界の人々が共感し、人の心にある“人類愛”を呼び戻したいという思いにかられます。

 さて、7、8年も前のことでしょうか。博愛精神にも共通するある新聞記事に感動し、すぐにその要点を書き留めておきました。そのメモを読み返してみると、当時の記事の見出しは、おそらく「心竹」となっていたように思います。
 その内容は、芦屋市の「虚子記念文学館」に今も大切に保存されている5枚の葉をつけた笹枝のことを指し、それにまつわる話でした。
 今から125年も前の1892年(明治25年)1月、当時、17歳の高浜虚子は、「飯が食えぬから」といって、文学の志を捨てようとしていたのです。そのことを東京にいた24歳の正岡子規が人づてに聞いて、郷里・松山の友を想いこの笹を添えて手紙を贈ったというものです。
 笹の葉1枚1枚に、「初雪や 綺麗に笹の 五・六枚」等々の俳句が添えられ、手紙には「食ヘヌニ困ルト仰セアラバ 小生衰エタリト雖モ 貴兄ニ半椀ノ飯ヲ 分カタン」「目的物ヲ手ニ入レル為ニ 費ヤスベキ最後ノ租税ハ 生命ナリ」としたためられていました。子規は、この笹枝に託して“心の丈”を伝え、それを「心竹」と呼び、ささ(笹)いな贈り物だといったそうです。
 この頃の子規は、既に血を吐き体調を崩し病床に伏す直前であり、このような状況の中で、友を想い、心から心配し励ますことができたのはなぜでしょうか。
 心竹には、子規の純粋で温かい友情が溢れており、これまでのふたりの心の交流を想像するにつけ、これは人間愛に支えられたものであり、幼い頃からふるさとを原点に培われたものに他ならないでしょう。
 人にとって、このような人間性は時代を超えて“不易”な価値であり、まさに、「ふるさとを愛し、ふるさとを誇りに思う心」の発露だと考えます。
 記事によると、「心竹をひと枝、胸に飾るのもいい」と締めくくってあったように思います。

 私は、子どもたちが、地域の中の学校で、“ふるさと さが”を舞台に友だちと関わり、地域の人たちと関わって成長していく中で、人を思いやる「心竹」の芽を育んでいって欲しいと願っています。
 1年を締めくくる「師走」。子どもたちには、日本古来の年末・年始の伝統行事を味わいながら、ふるさとの行く年・来る年の情緒に浸り、自らの1年を振り返ってもらいたい。そして、心新たに新しい年への希望を大きく膨らませて欲しいと願っています。

 『これまでの教育長だよりはここをクリックしてください。』

 

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