Language

文字の大きさ

背景色

案山子(2017年12月1日)

更新:2019年04月 3日

 早いものでもう師走に入ったが、今回のコラムは、季節を少し戻して、晩秋の佐賀の風景から案山子を素材にしたい。

 毎年、佐賀ではバルーンフェスタに合わせて嘉瀬町の皆さんの手作りで誕生する、たくさんの案山子がバルーン大会を盛り上げてくれる。3年前から、大和町では「まちおこし」にも案山子が活躍している。

 

 古くから農家の皆様は、秋の農作物の収穫期の前には、竹や藁で作った人形を田んぼや畑に立て、丹精こめて育てた収穫物を横取りする鳥獣を寄せ付けないようにした。

 この人形が案山子といわれるものだが、果たしてその案山子は役に立ってきただろうか?

 最近では人の姿を見ても逃げない鳥獣類は多い。

 特に獣の部類のイノシシやサルなどは逃げないだけでなく、人に向かって来る話もよく聞く。

 効果のほどは別として、農作物の被害を少しでも減らしたいという、農家の皆様の切なる願いがこもっているのは事実である。

 ここで紹介するのは、今年10月の末ごろから始まった佐賀市大和町の広坂・有木地区の案山子祭りのものである。

 ①松梅かかし祭り(チラシ)

 それぞれに異なった振付がされているので、少し離れたところから見ると、案山子には見えない。

 あたかも、人が農作業をしていたり、バス停でバスを待っていたり、池で魚を釣っているようで、つい「本物」と見間違えるほどの出来栄えである。

②松梅かかし祭り(農作業) ③松梅かかし祭り(バス停でバスを待つ)

 

 そこには昭和20年から30年代の田舎の光景が再現されていた。

 私も魅せられて、11月末の土曜日に今期2度目の見物をした。

 とても仕草がユーモラスで、つい「どがんかんたー、今年の米の出来は?」「お百姓仕事もきつかなんたー」「バスは何時かんたー?」「釣れよっかんたー?」などと声をかけたくなるほどの表情である。

⑤松梅かかし祭り(お百姓仕事も) ⑦松梅かかし祭り(釣れよっかんたー)

 

 祭りの会場近くで、本当に、農作業をされているご婦人を見たが、その方を案山子と見間違えるほど、会場の案山子さんたちは周囲の風景と一体化し、溶け込んでいた。

 この集落は25世帯で高齢化率も約45パーセントということであった。

 地区住民のほとんどが案山子祭りに関わり、休日には手作り野菜などの直売所も開設されていた。

 ⑨松梅かかし祭り(直売所)

 「まちおこし事業として、これからも続けたい」と語られる地区の皆さんが頼もしかった。

 こうした集落を上げての取り組みは、地域を活気づけ、佐賀市の活性化にもつながるはずだ。

 

 案山子祭りで毎年思い出すことがある。

 12年前、私にとっては初めての選挙運動中のことである。

 選挙カーで田園地帯を走っていたとき、遠くの田んぼに立つ案山子が私には、稗取り作業中のお百姓さんに見えた。

 私とウグイス嬢は「よろしくお願いしまーす」と何回も叫び続け、身を乗り出して手を振ったのだが、近づくにつれ、それが案山子さんだと分かり、お互い大笑いしたことを・・・。

 朝から晩まで、ただ立ちどおしの案山子さんに、生命を感じた秋でした。

  • Facebookシェアボタン
  • Twitterツイートボタン
  • LINEに送るボタン

このページに関するお問い合わせ

総務部 秘書課 秘書係
〒840-8501 佐賀市栄町1番1号 本庁2階
電話:0952-40-7020 ファックス:0952-24-3463
メールアイコン このページの担当にメールを送る