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【教育長だより】心のゆとりと感動する心

更新:2017年08月25日

はての浜体験交流      ユイマール館 

東洋一と言われる砂だけの島「はての浜」での体験交流  久米島紬の里「ユイマール館」での織物体験

青い海とさんご礁

「比屋定バンタ」展望所眼下に広がる青い海とサンゴ礁

 

平成29年8月25日

 8月4日(金)から6日(日)までは、市内の中学1年生16人とともに沖縄県久米島町を訪れました。これは、第11代 齋藤 用之助を縁に、平成24年度から「佐賀市・久米島町中学生交流」として始めた事業です。
 久米島空港に降り立ち、美しいコバルトブルーの海に囲まれた自然と、佐賀とは全く違った南国情緒たっぷりの景観を肌で感じ感動しました。佐賀と沖縄では、自然や歴史がまるっきり違います。当然、そこで生まれた文化や営まれる生活もまた違っています。そのような環境の中で町民や教育委員会の皆様のお世話で、久米島町の中学生とともに多くの体験をした子どもたちは、驚きと感動の連続だったようです。
 この体験交流を通して、子どもたちは用之助の偉業に思いを馳せながら、久米島町を理解するとともにふるさと佐賀についての認識も新たになったのではないでしょうか。

 さて、私は教職を定年で退き、早9年が経とうとしています。長年教壇に立っていた期間の資料や書籍等は、今なお、ダンボールに眠ったままでした。今年もお盆が過ぎ、少しは心に余裕ができたのか、それらをボチボチ整理し始めたところでした。
 振り返ってみると、佐賀県教員として採用されてから既に半世紀近くもの時間が経過しているのです。「光陰矢のごとし」とはよく言ったもので、年を経るごとにそのことを実感するのです。つくづく、時間は大切にしたいと心から思ったことでした。

 ところで、資料に目を通しながら整理をしていると、ひとつの資料に目が留まりました。それは、紛れもなく46年前に書きとめたメモ帳でした。
 当時私は、仕事や日常生活で“感じたことや考えたこと”などは、タイトルを付けて日記風に書き留めていました。そこには私の自筆があり、当時のノート、インクの色なども鮮明に残っており、しばしその内容を読み進めていくうちに、当時の様子がよみがえってきました。
 社会人1年生として、教員1年生として、希望に胸弾ませて赴任した早々の昭和46年4月に記したものから2つ程紹介します。

 その1 「心 ここに在らざれば」
 昭和46年4月、新規採用教員として赴任することになり、初めて渡った東松浦郡の離島。
 新聞は郵便船頼みで昼ごろ届き、電話は局の交換手を通して繋いでもらう。ほとんどの情報はずっと遅れて届くか入らずじまい。信号機はなし、車もなし、テレビは持たず、唯一ラジオが日々の情報源。
 そのせいか時間はゆっくり流れ、周りの風景や島民の生活がひときわのどかに映る。波の音、潮風の匂い、海鳥の泣き声、ポンポン船の遠ざかる音、人の語らい・・・。わたしの身の回りのあらゆるものに、ほんの小さな出来事にも五感が働き、わたしのこころを揺さぶる。
 そのこころの根底には、「驚きと感動」があり、そのことで自らの存在を実感する。どうやら、自己の存在の確認は、こころのありようで決まるようだ。
 こころのゆとりは、感動するこころを生む。日々感動して生きることで、やがて人としての魅力を醸し出し、心豊かな人間になるのでしょうか。
 これまでは、ややもすると「心 ここに在らざれば 視れども見えず 聴けども聞こえず」であった。
 教材研究に、授業の準備に、慣れない仕事に追われる毎日、こんな時期だからこそ、“こころ”を置き忘れることがないようにしたいものである。

 その2 「ひねもす のたりのたりかな」
 初めての島の春は、ひときわやわらかい日差しが木造の教室に注ぎ込む。青く澄み渡った空の下、家々や段々畑、石積みの歩道・・・全ての風景が溶け込み、幸せな気分になる。そんな中で、耳を傾けると、のたりのたりの波の音と海鳥の泣き声が重なり合ってとても心地よい。
 初めての担任17人の3年生は、皆個性豊かで実にかわいい。授業中、うららかな気候に気持ちがよくなって舟をこぐ子ども、そわそわして外が気になり目をやる子ども、わたしには、子どもの動作のひとつひとつに、それぞれの思いが正直に映る。休み時間は、男も女も皆すっ飛んで外に出て、一生懸命に遊びだす。
 3時間目は算数、こんなに天気のよい日に教室で過ごすのはもったいない。わたしの「今日の算数の授業は、磯が教室です。」の声に、待ってましたとばかりに、17人とは思えないほどの大きな声で「ヤッター」。わたしは小黒板とチョーク、子どもたちはノートと筆箱を抱えて、運動場下の磯に向かう。わずか5分ほどであるが思い思いに話をしながら、まるで遠足にでも行くように。
 美しい自然の中での勉強は、こころが弾みとても楽しい。楽しい心は子どもたちの意欲を駆り立てる。分かったような気分(?)になるし、こちらもおおらかになり、多少のことには目を瞑り叱ることを忘れる。
 五感を通して自然を感じ、自然に感動しながら勉強する。これこそが子どもたちとわたしが一体となる秘けつだった。
 その後も、給食や学級会など、自然をいっぱいに感じながら時間を忘れて野外での授業を行なった。
 “自然の美しさに勝るものなし。そして、その感動は人にやさしさを運んでくれる。”を実感した。

 現代社会は情報化や国際化、そして核家族・少子化が怒涛のごとく押し寄せ、社会構造は変貌しつつあります。
 このような時代だからこそ、心にゆとりを持ち、日常の出来事に対して、「見える・聞こえる・感じる」毎日でありたいと我を反省したところです。
 これからの社会に生きる子どもたちにとっては、心の豊かさは「不易」なものであり、人として生きる基盤ではないでしょうか。
 地域の皆様と学校が連携・協働して子どもたちに豊かな体験を味わわせ、“感動する心”を大切にする子どもたちを育んでまいりたいと感じたところです。
 間もなく2学期が始まりますが、よろしくお願いします。

 

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