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【教育長だより】直接体験こそ学びの出発点

更新:2017年07月 7日

 

友だちとかかわりながら伸びゆく園児たち

平成29年7月7日

 

 今日は“七夕”。先日、市南部の認定こども園を訪問いたしました。玄関先には、親子で作った七夕飾りがあり、短冊には「自転車に乗れるようになりますように。」などとそれぞれ園児たちの願いがささ竹に結ばれていました。
 七夕の行事が保育園や幼稚園の行事として今に続いていることに嬉しくなりました。小さい頃から、親子で日本の伝統行事を体験した子どもたちにとっては、成長しても親子の絆や友達、多くの人とかかわった思い出として心に残るものです。
 その日の園児たちは年齢に合わせた保育活動があり、園には、園児たちの喜々とした元気な声が飛び交う中で、プール遊びやリズム遊びなどに心底没頭していました。園児の真剣なまなざしや屈託のない笑み、全力で走る姿、瞬時に考えて機敏に動く姿等々、その元気な活動ぶりに成長を実感し、園児たちの園生活での育ちの過程を垣間見ることができました。

 小さい頃に思いを馳せますと、私も祖母と一緒に五色の色紙や短冊に願い事を書き、ささ竹に飾り、それを庭先に立てて、「習字が上手になりますように」などと手を合わせてお願いしたものです。そして、“ささのはさらさら のきばにゆれる・・・”と、童謡「たなばたさま」を歌った記憶も懐かしく思い出されます。
 時には、吸い込まれそうな星空・天の川を眺めては、祖母が話してくれる七夕の話に夢中になり想像を膨らませたものです。昭和30年代当時は、ここかしこに見られる光景でした。
 また、夏ともなりますと「遊び」は中味も行動の範囲も広がり、近所の友達と時間を忘れて遊んだものです。
 友と一緒に、野原ではトンボやせみを追いかけたり、川では魚などを捕まえたりした水遊び、山に行けば野鳥を物陰からそっと観察したり、木に登っては眼下に広がる景色を見渡し、すがすがしい気持ちになったりしたものです。
 友とともにふるさとの自然を舞台にしたいろんな体験の繰り返しは、おおいに冒険心や好奇心を駆り立て、数々の問いと不思議、感動を与えてくれました。まさに子どもの世界の遊びは、五感を通して多くのことを主体的に学ぶ場であったし、それは日常生活の中にすっかり溶け込んでいました。遊びに夢中になり、太陽が沈む頃にあわてて帰ることもしばしば。時として、夜空いっぱいに輝く星を眺めてはその美しさに感動したものです。

 現代社会は、情報化や科学技術の進展等により極めて便利な生活環境となってきています。子どもたちは、日常生活でインターネットが欠かせなくなってきているし将来的には人生のかなりの部分をネットの中で過ごすことが予測できます。
 子どもたちにとって、ネット等を介して学ぶ「間接体験」やシミュレーションをとおして模擬的に学ぶ「疑似体験」の機会はますます多くなるでしょう。反面、自然や地域社会と関わりながら「直接体験」をする機会は減ってくるのではと危惧するのです。

 大人になって振り返ると、幼い頃からのいろいろな直接体験は多くの疑問や問いを投げかけていました。それを解決するために、失敗を繰り返しながらもこれまでの経験や学校で学んだ知識や技能を総動員しながら、自ら考え工夫して答えをつくり出してきました。まさに、体験によって生きて働く知恵を積み上げていったように感じます。

 子どもの頃の遊びや体験はまさに「学び」の土台ではないでしょうか。

 改めて、体験活動の教育的意義や重要性について、文部科学省は、
 『・・・子どもたちに「生きる力」をはぐくむためには、自然や社会の現実に触れる実際の体験が必要であるということである。子どもたちは、具体的な体験や事物との関わりをよりどころとして、感動したり、驚いたりしながら、「なぜ?」「どうして?」と考えを深める中で、実際の生活や社会、自然の在り方について学んでいく。そして、そこで得た知識や考え方を基に、実生活のさまざまな課題に取組むことを通じて、自らを高め、よりよい生活を創りだしていくことができるのである。このように、体験は、子どもたちの成長の糧であり、「生きる力」をはぐくむ基礎となっているのである。
 ・・・今日、子どもたちは、直接体験が不足しているのが現状であり、子どもたちに生活体験や自然体験などの体験活動の機会を豊かにすることは極めて重要な課題となっていると言わなければならない。こうした体験活動は、学校教育においても重視していくことはもちろんであるが、家庭や地域社会での活動を通じてなされることが本来自然の姿であり、かつ、効果的であることから、これらの場での体験活動の機会を拡充していくことが切に望まれる。・・・』としています。

 あらゆる体験は、子どもたちに多くの問いを投げかけてくれます。そして、その問いに対して何とか解決しようと自らの知恵を総動員して追究します。まさに主体的な学びが始まるのです。主体的な学びの連続は、やがて将来を生き抜く基盤となるものではないでしょうか。

 今、学校では、体験的な活動を重視した教育を意図して行っています。体験は学びの土台・出発点であり、五感を通して対象を知る体験的な活動は、子どもたちの思考を活性化させ、学ぶことの喜びや意欲を生み出すことにつながるからです。また、社会体験としてのボランティア活動なども子どもたちの成長に意義深いものであり、大事な教育活動であります。
 本市では、全小中学校が、「地域とともにある学校」として地域と積極的な関わりを持っています。各学校では、ゲストティーチャーとして、地域のみなさんに子どもの学習に関わってもらい、地域では、各種の行事を通して、子どもたちも活躍する豊かな体験の場を作ってもらっています。また、地域の中で、積極的に「子どもボランティア」を育てながら、ボランティア活動の機会を作っていただいていることは、他に類を見ない点ではないでしょうか。
 また、「子どもへのまなざし運動」によって、“子どもは社会全体で育てる”という機運が高まり、地域の中に多くの豊かな体験の機会が増えてまいりました。子どもたちにとって、地域は、“ふるさと佐賀で育ち、学びゆく”すばらしい環境にあり、大変幸せなことであると感じるのです。地域のみなさん方に感謝します。

 間もなく夏休み。子どもたちは、夏休みの生活の計画を立てる中にも、長い休暇を“どう過ごそうか”、“友達とどんなことをしようか”、“地域の楽しい行事はいつあるのか”、などと、大きな期待に胸を膨らませていることでしょう。
 子どもたちが地域の中で地域の一員として、学校では味わうことのできない豊かな体験や家庭行事等をとおしてさらに成長することを期待するものです。

 

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