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【教育長だより】情報化社会におけるアナログ感覚

更新:2017年03月17日

電子機器を活用し、友だちとともに学びを深めている西与賀小の子どもたち

タブレット(ひとり)   タブレット(ふたり)_R タブレット操作風景

平成29年3月17日

 間もなく太陽は春分点に達する春分、昼夜の時間が等しくなります。多忙な生活に追われて先祖の墓参りも疎かになりがちな現在、彼岸には墓参りをとおして、静かな気持ちで生活を振返ってみるよい機会ではないでしょうか。
  初旬には、紅梅や白梅があちらこちらで咲き誇り一足早い春の訪れですが、桜が咲く頃になりますと春を実感し思わず笑顔がこぼれます。“春よ来い、早く来い”ですね。

                                     ~ 春分や 走り咲きなる 寺桜(天守)~


 昭和46年、私は新採教員として東松浦郡(現在の唐津市)内の海辺の小さな小学校に赴任しました。当事は、暇さえあれば教員としてのノウハウを先輩教師から叩き込まれました。鉄筆でガリ版を使っての教材作り、当然印刷は一枚一枚手刷りです。割れた窓ガラスを入れ替えるためのガラス切りの使い方、授業で広い黒板をいかに使うか、黒板に書く文字の大きさや色使いまで。時々、黒板の出来上がりを一番後ろの席から見て批評を受けたものです。また、子どもの作品の見方や掲示の仕方、運動会での放送機器の配線の仕方などなど。実に多くのことを教えてもらいました。これらはすべて自分の五感を使って体験をとおして学んだものです。子どもたちの期末成績処理は手計算かそろばん利用でした。当時、そろばんは仕事を能率的に行うためのたのもしい味方だったのです。
 今、私はパソコンに向かってワープロ機能を使いこの原稿を作成しています。つい数年前までは、おたよりや授業用の教材、実践研究資料等、すべて手書きで原稿を作成し、何度も推敲・修正したものです。パソコンの普及でその作業ははるかに楽になり効率的になりました。キーボードを押せば即座に漢字に変換してくれ、修正も至って簡単。しかし、過去を物語るペンだこもいつしか消えた今、漢字を書けなくなってきている自分を自覚するのです。
スマホやパソコンの普及、便利なインターネットの登場等、情報化や科学技術の急速な進展で社会は急激に変化を遂げています。それに伴って、教育環境もまた大きく変化してきました。今や、パソコンを使うのは日常となり、全国の学校ではICT利活用教育が重要課題として推進されています。本市においても「ICT利活用推進係」を新設して、その推進を図っているところです。確かにタブレットやパソコン、電子黒板等、ICT機器を活用した授業は子どもの興味関心を高め、より確かに学習内容を身につけることができます。

 市民のみなさんには、地域の小中学校でICTを活用した授業を参観する機会も多く、そのよさを実感されているのではないでしょうか。また、その活用には多くの意見も持たれていることでしょう。

 授業でICTを活用するのは、あくまでも子どもの学びを確かにするための手段であり、それ自体を使用することが目的ではないのです。
ICT機器の進歩により教科書や教材もデジタル化の方向にありますが、その特性を十分に理解して学校教育に活用すればはるかに学習効果を挙げることができます。バーチャルの世界も簡単に体験できるようになり、ますます映像、動画を駆使した授業が見られるようになることは容易に推測できます。
 しかし、バーチャルの落とし穴にはまっては教育は危ういのではないでしょうか。デジタル化が進むIT全盛の時代だからこそ、「本物」との出会いが大切だと考えるのです。
 授業で、実際に川の生き物や虫を採集し飼育したり観察をしたりする、望遠鏡をのぞいて天体観察をして四季の星空に触れる・・・「本物」を見たり触れたりして実体験をすることは、子どもの持つ五感をとおした本物感覚が磨かれていき、「生きる力」としての真の理解につながると考えるのです。
 教育の本質は、人を育てることにあります。コンピュータでは代替できない感性や創造性、志を育むのは人です。人は人によって育っていくものですから。
 高度情報化時代にあって、デジタル感覚のみに陥ることなく「アナログ感覚」を大切にした教育活動を展開することが必要だと考えるのです。

 現在、佐賀市のICT利活用教育はこのような考えのもとに、西与賀小、赤松小、若楠小を研究実践校として先行的な研究を行いながら進めております。
 昨年10月には、「全日本教育工学研究協議会全国大会 佐賀大会」において、西与賀小、若楠小、城西中学校において、「ICT利活用教育による新たな学びの創造」をテーマに授業を公開いたしました。ICT機器の特性を十二分に活用しながらも、一方で「アナログ感覚」を大切にし、知・徳・体の調和のとれた「生きる力」を備えた子どもの成長を目指した授業であり、全国から迎えた参観者の評価を受けたところです。

 これからも、アナログ感覚を大切にしつつ、ICT利活用による学びの創造で、子どもたちに「生きる力」を育みたいと考えているところです。

 教育長  東島 正明

 

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