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感涙を共に(2016年11月2日)

更新:2018年01月 5日

 先月29日、佐賀市は2016・熱気球世界選手権を前にした公式練習やシチメンソウまつりで大いに賑わった。

 同じ日、鳥栖では、サッカーJ1「サガン鳥栖」のセカンドステージ、ホームでの最終戦があった。対戦相手は横浜F・マリノスで試合開始は午後2時。

 私は佐賀で午後2時までの熱気球関連のイベントを終えるとすぐに鳥栖に向かった。

 「午後2時開始の試合を見るのに午後2時から出かける者がいるのか?」と思われるかもしれないが、私には対横浜F・マリノス戦を少しでも応援したいという思いと、金民友選手の「兵役のための退団セレモニー」をぜひ見たいと言う思いが重なっていたからだ。

 私は試合終了15分前にスタンドに到着した。試合は2-2のドローであったがその後の退団セレモニーで感動した。

 セレモニーは大型ビジョンに映し出されながら進められた。

 金民友選手のお父さんがわが子・民友に花束を渡すシーンまでは異変はなかった。しかし、民友選手が7年間お世話になったサガン鳥栖への感謝の言葉をたどたどしく、日本の言葉で読み上げ始めたときに私の目は潤み始めた。周りのサポーターも同じだった。

 「サポーターの皆さん美しい応援ありがとうございました」「またここに立てる日を夢見ています。夢は必ずかなう・・・」と涙に詰まりながらの謝辞を聞いたときには、私の目の潤みも我慢できなくなっていた。「またいつの日か『ベアスタ』のピッチに立ちたい」という彼の思いの全てが伝わった。

 私の頬にはさわやかな涙が流れた。

 韓国と日本、スポーツの世界ではこんなに気持ちが通じるのに、国同士の政治の世界では「竹島問題」など、どうしてギクシャクするのか残念に思えてならなかった。

 そんなさわやかな涙の余韻が漂っているときに、後ろの席から私の肩を軽くたたく人がいた。私は涙の跡が残る頬を見せたくなかったので、すぐには後ろを振り向かなかった。しかし再度、肩をたたかれたので、仕方なく後ろを振り向いた。

 私の肩をたたいたのは中年の女性で私が佐賀の市長であることを知っていたようである。「市長さん、あの大型ビジョンに字幕を入れてください。私は、今日、この方々の手話通訳をしながら応援していました。」と隣に座っておられた二人の高齢の男性を指さして訴えられた。

 詳しく話を聞くと健常者は民友選手の挨拶に感涙しているのに、聴覚障害者の方々は感涙できなかった。同じサポーターとして感動も感涙も一緒に味わいたいのです。そのためにはせめて大型ビジョンに字幕を入れて欲しいと言われるのだ。

 この訴えに対して「あらかじめ原稿があるものは字幕の用意ができるかもしれないが、このような場で、あの挨拶に同時通訳的に字幕を入れるのは難しいのではないでしょうか」と否定的に答えた。

 すると「いや、テレビなどでもよく同時通訳的に字幕が入ります。市長は見たことがないですか?」と私に詰問が跳ね返ってきた。

 できるかできないかわからないが、「感涙を共にしたかった」という相手の言い分は十分理解できたので「施設を管理されている鳥栖市長やサガン鳥栖の竹原社長には伝えましょう」と私はその場を取り繕った。

 同時通訳的に大型画面に字幕が表示されれば、大会などでの要約筆記は不要となり、そのシステムは市役所での窓口でも活用されるにちがいない。そうなれば便利だ。

 IT技術などの発展で彼女の言うことが技術的に可能であるのか、佐賀市の職員に早速尋ねてみた。

 「只今調査中」である。

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