「佐賀市立学校職員における障がいを理由とする差別の解消の推進に関する対応要領」

更新:2016年08月17日

佐賀市立学校職員における障がいを理由とする差別の解消の推進に関する対応要領

 

(目的)

第1条 この要領(以下「対応要領」という。)は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「法」という。)第10条第1項の規定に基づき、また、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(平成27年2月24日閣議決定)に即して、法第7条に規定する事項に関し、佐賀市立学校職員(市費職員を除く県費負担教職員。以下「職員」という。)が適切に対応するために必要な事項を定めるものとする。

 

(不当な差別的取扱いの禁止)

第2条 職員は、その事務又は事業を行うに当たり、障がい(身体障がい、知的障がい、精神障がい(発達障がいを含む。)その他の心身の機能の障がいをいう。以下同じ。)を理由として、障がい者(障がい及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの。以下同じ。)でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障がい者の権利利益を侵害してはならない。この場合において、職員は、別紙に定める留意事項に留意するものとする。なお、別紙中、「望ましい」と記載している内容は、それを実施しない場合であっても、法に反すると判断されることはないが、障害者基本法(昭和45年法律第84号)の基本的な理念及び法の目的を踏まえ、取り組むことが望まれることを意味する(次条において同じ。)。

 

(合理的配慮の提供)

第3条 職員は、その事務又は事業を行うに当たり、障がい者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障がい者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障がい者の性別、年齢及び障がいの状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮(以下「合理的配慮」という。)の提供をしなければならない。この場合において、職員は、別紙に定める留意事項に留意するものとする。

 

(校長等管理監督者の責務)

第4条 校長等管理監督者は、自らが障がいに関する理解を深め、障がいを理由とする差別の解消に関して高い意識を持つとともに、次の各号に掲げる事項に注意して障がい者に対する不当な差別的取扱いが行われないよう監督し、また障がい者に対して合理的配慮の提供がなされるよう努めなければならない。

一 日常の執務を通じた指導等により、障がいを理由とする差別の解消に関し、その管理する職員の注意を喚起するとともに、職員のみならず在籍する児童生徒についても、障がい及び障がいを理由とする差別の解消に関する認識を深めさせること。

二 障がい者及びその家族その他の関係者(以下「相談者」という。)から不当な差別的取扱い又は合理的配慮の不提供に対する相談、苦情の申出等があった場合は、迅速に対応すること。

三 合理的配慮の必要性が確認された場合、管理する職員に対して、合理的配慮の提供を適切に行うよう指導すること。

2 校長等管理監督者は、障がいを理由とする差別に関する問題が生じた場合には、迅速かつ適切に対処しなければならない。

 

(校内における体制)

第5条 学校においては特別支援教育コーディネーターが障がい者差別解消の推進を行い、以下の職務にあたる。

  一 相談者からの相談等の対応

  二 次項に定める校内委員会及び校内研修の企画・運営

  三 その他校長が指示する事項

2 学校における特別支援教育にかかる校内委員会(校長、副校長、教頭、特別支援教育コーディネーター、養護教諭その他校長が必要と認める者で構成)において、次に掲げる事務を処理するものとする。

 一 障がい者である児童生徒の実態把握及び支援方策の検討

 二 障がいを理由とする差別に関する問題があると認められる場合の対応の検討

 三 その他校内委員会で必要と認める事項

 

(相談等の体制)

 第6条 相談者からの相談等に的確に対応するため、次の相談員を置く。

  一 学校  校長、特別支援教育コーディネーターその他校長が指定する職員

  二 佐賀市教育委員会(以下「佐市教委」という。) 学校教育課特別支援教育係

2 相談等を受ける場合は、性別、年齢、状態等に配慮するとともに、対面のほか、電話、ファックス、電子メールに加え、障がい者が他人とコミュニケーションを図る際に必要となる多様な手段を可能な範囲で用意して対応するものとする。

 3 学校においては、前2項に規定する内容について、校内で周知を図るものとする。

 

(相談等への対応)

第7条 相談等を受けた相談員は、その内容を記録して校長に報告するものとし、報告を受けた校長は、相談等を受けた相談員又は特別支援教育コーディネーターその他適任と認める職員に対し、事実関係の調査等を行うよう指示するものとする。

2 前項の調査等の結果、障がいを理由とする差別に関する問題がある場合その他特に必要と認められる場合には、校長は校内委員会で対応を検討のうえ迅速かつ適切に対処しなければならない。

3 校長は、前2項の指示、検討、対処等をするに際し、適宜佐市教委関係課に報告、協議するものとする。

4 本条の業務に関わる者は、相談者のプライバシー及び秘密の保護を徹底しなければならない。また、相談等への対応にあたっては、適宜、相談者に意向確認をするなど適切に配慮するものとする。

 

(懲戒処分等)

第8条 職員が、障がい者に対し不当な差別的取扱いをし、又は過重な負担がないにもかわらず合理的配慮の不提供をした場合、その態様等によっては、職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合等に該当し、佐賀県教育委員会より懲戒処分等に付されることもある。

 

(研修・啓発)

第9条 障がいを理由とする差別の解消の推進を図るため、学校において、所属職員に対し必要な研修・啓発を行うものとする。

2 校長等管理監督者に対しては、障がいを理由とする差別の解消等に関し求められる役割について理解させるために、校長会等で研修を実施するものとする。

3 職員に障がいの特性を理解させるとともに、障がい者に適切に対応するため、学校及び佐市教委において、必要に応じてマニュアルの活用等により意識の啓発を図るものとする。

 4 前各項に定める研修の実施等にあたっては、市長部局の協力も得て行うものとする。

 

附 則

 この要領は、平成28年4月1日から施行する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

別紙

佐賀市立学校職員における障がいを理由とする差別の解消の推進に関する対応要領に係る留意事項

第1 対象となる障がい者

対象となる障がい者は、「障がい及び社会的障壁により、継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」である。これは、障がい者が日常生活又は社会生活において受ける制限は、身体障がい、知的障がい、精神障がい(発達障がいを含む。)、その他の心身の機能の障がい(難病に起因する障がいを含む)のみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生じるものとのいわゆる「社会モデル」の考え方を踏まえている。したがって、対応要領が対象とする障がい者は、いわゆる障がい者手帳の所持者に限られない。なお、高次脳機能障がいは精神障がいに含まれる。

 

第2 不当な差別的取扱いの基本的な考え方

法は、障がい者に対して、正当な理由なく、障がいを理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否する又は提供に当たって場所・時間帯などを制限する、障がい者でない者に対しては付さない条件を付けることなどにより、障がい者の権利利益を侵害することを禁止している。

ただし、障がい者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別の措置は、不当な差別的取扱いではない。したがって、障がい者を障がい者でない者と比べて優遇する取扱い(いわゆる積極的改善措置)、法に規定された障がい者に対する合理的配慮の提供による障がい者でない者との異なる取扱いや、合理的配慮を提供等するために必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ障がい者に障がいの状況等を確認することは、不当な差別的取扱いには当たらない。

このように、不当な差別的取扱いとは、正当な理由なく、障がい者を、問題となる事務又は事業について、本質的に関係する諸事情が同じ障がい者でない者より不利に扱うことである点に留意する必要がある。

 

第3 正当な理由の判断の視点

正当な理由に相当するのは、障がい者に対して、障がいを理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否するなどの取扱いが客観的に見て正当な目的の下に行われたものであり、その目的に照らしてやむを得ないと言える場合である。

正当な理由に相当するか否かについては、具体的な検討をせずに正当な理由を拡大解釈するなどして法の趣旨を損なうことなく、個別の事案ごとに、障がい者、第三者の権利利益(例:安全の確保、財産の保全、損害発生の防止等)及び学校の事務又は事業の目的・内容・機能の維持等の観点に鑑み、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。

職員は、正当な理由があると判断した場合には、障がい者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。

 

第4 不当な差別的取扱いの具体例

不当な差別的取扱いに当たり得る具体例は以下のとおりである。なお、第2で示したとおり、不当な差別的取扱いに相当するか否かについては、個別の事案ごとに判断されることとなる。また、以下に記載されている具体例については、正当な理由が存在しないことを前提としていること、さらに、それらはあくまでも例示であり、記載されている具体例だけに限られるものではないことに留意する必要がある。

 

(不当な差別的取扱いに当たり得る具体例)

○ 障がいを理由に窓口対応を拒否する。

○ 障がいを理由に対応の順序を後回しにする。

○ 障がいを理由に書面の交付、資料の送付、パンフレットの提供等を拒む。

○ 障がいを理由に式典、説明会、シンポジウム等への出席を拒む。

○ 事務・事業の遂行上、特に必要でないにもかわらず、障がいがあることを理由に、来校の際保護者等付き添い者の同行を求めるなど  

 の条件を付け、又は特に支障がないにもかかわらず、付き添い者の同行を拒んだりする。

○ 本人を無視して、支援者・介助者や付き添い者のみに話しかける。

○ 正当な理由なく、本人の意思又はその家族等の意思(障がいのある方の意思を確認することが困難な場合に限る。)に反して、対応

 する。

○ 障がいを理由に入学、授業等の受講、実習等校外教育活動、学校行事への参加、又はこれらを拒まない代わりとして正当な理由のな

 い条件を付す。

○ 試験等において、合理的配慮を受けたことを理由に評価に差をつける。

 

第5 合理的配慮の基本的な考え方

1  障害者の権利に関する条約(以下「権利条約」という。)第2条において、「合理的配慮」は、「障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」と定義されている。

法は、権利条約における合理的配慮の定義を踏まえ、行政機関等に対し、その事務又は事業を行うに当たり、個々の場面において、障がい者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障がい者の権利利益を侵害することとならないよう、社会的障壁の除去の実施について、合理的配慮を行うことを求めている。合理的配慮は、障がい者が受ける制限は、障がいのみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるものとのいわゆる「社会モデル」の考え方を踏まえたものであり、障がい者の権利利益を侵害することとならないよう、障がい者が個々の場面において必要としている社会的障壁を除去するための必要かつ合理的な取組であり、その実施に伴う負担が過重でないものである。

合理的配慮は、学校の事務又は事業の目的・内容・機能に照らし、必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること、障がい者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであること、事務又は事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないことに留意する必要がある。

2  合理的配慮は、障がいの特性や社会的障壁の除去が求められる具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものであり、当該障がい者が現に置かれている状況を踏まえ、社会的障壁の除去のための手段及び方法について、「第6 過重な負担の基本的な考え方」に掲げる要素を考慮し、代替措置の選択も含め、双方の建設的対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で、柔軟に対応がなされるものである。さらに、合理的配慮の内容は、技術の進展、社会情勢の変化等に応じて変わり得るものである。合理的配慮の提供に当たっては、障がい者の性別、年齢、状態等に配慮するものとする。

なお、合理的配慮を必要とする障がい者が多数見込まれる場合、障がい者との関係性が長期にわたる場合等には、その都度の合理的配慮とは別に、後述する環境の整備を考慮に入れることにより、中・長期的なコストの削減・効率化につながる点は重要である。

3  意思の表明に当たっては、具体的場面において、社会的障壁の除去に関する配慮を必要としている状況にあることを言語(手話を含む。)のほか、点字、拡大文字、筆談、実物の提示や身振りサイン等による合図、触覚による意思伝達など、障がい者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段(通訳を介するものを含む。)により伝えられる。

例えば説明会等の開催を周知する媒体などにおいて、配慮を必要とする場合には予めその旨を連絡するよう依頼するなど、障がい者が意思の表明をしやすい環境づくりをすることが望ましい。

また、障がい者からの意思表明のみでなく、知的障がいや精神障がい(発達障がいを含む。)等により本人の意思表明が困難な場合には、障がい者の家族、支援者・介助者、法定代理人等、コミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含む。

なお、意思の表明が困難な障がい者が、家族、支援者・介助者、法定代理人等を伴っていない場合など、意思の表明がない場合であっても、当該障がい者が社会的障壁の除去を必要としていることが明白である場合には、法の趣旨に鑑みれば、当該障がい者に対して適切と思われる配慮を提案するために建設的対話を働きかけるなど、自主的な取組に努めることが望ましい。

4 合理的配慮は、障がい者等の利用を想定して事前に行われる建築物のバリアフリー化、介助者等の人的支援、情報アクセシビリティの向上等の環境の整備を基礎として、個々の障がい者に対して、その状況に応じて個別に実施される措置である。したがって、各場面における環境の整備の状況により、合理的配慮の内容は異なることとなる。また、障がいの状態等が変化することもあるため、特に、障がい者との関係性が長期にわたる場合等には、提供する合理的配慮について、適宜、見直しを行うことが重要である。

5 学校がその事務又は事業の一環として実施する業務を事業者に委託等する場合は、提供される合理的配慮の内容に大きな差異が生ずることにより障がい者が不利益を受けることのないよう、委託等の条件に、対応要領を踏まえた合理的配慮の提供について盛り込むよう努めることが望ましい。

第6 過重な負担の基本的な考え方

過重な負担については、具体的な検討をせずに過重な負担を拡大解釈するなどして法の趣旨を損なうことなく、個別の事案ごとに、以下の要素等を考慮し、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。職員は、過重な負担に当たると判断した場合は、障がい者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。

○ 事務又は事業への影響の程度(事務又は事業の目的、内容、機能を損なうか否か)

○ 実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約)

○ 費用・負担の程度

 

第7 合理的配慮の具体例

第4で示したとおり、合理的配慮は、具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものであるが、具体例としては、次のようなものがある。

なお、記載した具体例については、第5で示した過重な負担が存在しないことを前提としていること、また、これらはあくまでも例示であり、記載されている具体例だけに限られるものではないことに留意する必要がある。

(合理的配慮に当たり得る物理的環境への配慮の具体例)

○ 段差がある場合に、車椅子利用者にキャスター上げの補助等を行う。または、見えやすい縁取りを付けて、段差があることが分かるようにする。

○ エレベーターがない施設の上下階の移動の際に、マンパワーにより移動をサポートしたり、上階の職員が下階に下りて対応したりする等の配慮をする。

○ 配架棚の高い所に置かれた図書やパンフレット等を取って渡す。図書やパンフレット等の位置を分かりやすく伝える。

○ 視覚障がい者に対して誘導(付き添い)を行う。

○ 車椅子利用者にとってカウンターが高い場合に、カウンター越しの対応ではなく、他のテーブルに移る等して、適切にコミュニケーションを行う。

○ 通行しやすいように通路や壁、手すりの近辺には障害物や危険物を置かない。また、階段や表示を見やすく明瞭にする。

○ 周囲の者の存在に緊張する、疲労を感じやすい、情緒が不安定になりやすい等障がいのある児童生徒やその保護者等から別室や独立したスペースでの休憩等の申出があった際、別室等を確保する。もしくは、別室等の確保が困難である場合には、当該障がい者に事情を説明し、周囲の者との位置取りに配慮した場所を提供したり、近くに長椅子等を移動させて臨時の休憩スペースを設けたりする等の対応をする。

○ パニック発作が発生した場合に、臨時の休憩スペースを設ける。

○ 目的の場所までの案内の際に、障がい者の歩行速度に合わせた速度で歩いたり、前後・左右・距離の位置取りについて、障がい者の希望を聞いたりする。

○ 障がいの特性により、頻繁に離席の必要がある場合に、教室等の座席位置を扉付近にする。

○ 不随意運動等により紙の資料等を押さえることが難しい障がい者に対し、職員がそれを押さえたり、バインダー等の固定器具を提供したりする。

○ 災害や事故が発生した際、警報音や校内放送で避難情報等の緊急情報が聞こえにくい障がい者に対し、職員が直接災害を知らせたり、手書きのボード等を用いて、分かりやすく案内し誘導を図る。

○ 車いす利用者等を多目的トイレの場所に案内する。

○ 図書館や実験・実習室等の施設・設備を、他の児童生徒と同様に利用できるように改善する。

○ 移動に困難のある児童生徒のため、保護者等が送迎するための駐車スペースを用意する。

○ 聴覚過敏の児童生徒のために教室の机及び椅子の脚に緩衝材を付けて雑音を軽減する、視覚情報の処理が苦手な児童生徒のために黒板周りの掲示物等の情報を減らすなど、個別の事案ごとに特性に応じて教室環境を工夫する。

○ 知的障がいのある児童生徒に対し、見通しが持てるようにあらかじめ分かりやすいスケジュールカードを提示したり、終了時間が視覚的に分かるようにタイマーで示したりする。

○ 支援員等の教室へ入室、授業や試験でのパソコン入力支援、移動支援及び待合室での待機を許可する。

(合理的配慮に当たり得る意思疎通の配慮の具体例)

○ 筆談、要約筆記、手話、読み上げ、音声版、点字、拡大文字等を使ったコミュニケーションや情報提供を行う。

○ 情報保障の観点から、見えにくさに応じた情報の提供(聞くことで内容が理解できる説明・資料や、拡大コピー、拡大文字又は点字を用いた資料、遠くのものや動きの速いものなど、触ることができないものを確認できる模型や写真等の提供等)、聞こえにくさに応じた視覚的な情報の提供、見えにくさと聞こえにくさの両方がある場合に応じた情報の提供(手のひらに文字を書いて伝える等)、知的障がいに配慮した情報の提供(伝える内容の要点を筆記する、漢字にルビを振る、単語や文節の区切りに空白を挟んで記述する「分かち書き」にする、なじみのない外来語は避ける等)を行う。その際、各媒体間でページ番号等が異なり得ることに留意して使用する。

○ 声がよく聞こえるように、また、口の動きや表情を読めるようにマスクを外して話をする。

○ パンフレット等の文字を大きくするなどの対応をとる。

○ 各種の紙の資料をテキストデータで提供する、ルビ振りを行う、書類の作成時に大きな文字を書きやすいように記入欄を広く設ける等、必要な調整を行う。

○ 来校時に声をかけ、障がいの状態を踏まえ、希望するサポートを聞き、必要に応じて誘導する。

○ 電子メール、ホームページ、ファックスなど多様な媒体で情報提供等を行う。

○ 説明会等で使用する資料や、受付および会場内の案内・説明等について、点字、拡大文字、音声読み上げ機能、ルビ付与、分かりやすい表現への置換え、手話、筆談など障がい特性に応じた多様なコミュニケーション手段を、可能な範囲で用意して対応する。また、必要に応じて、手話通訳や要約筆記者を配置する。

○ 話し言葉だけを聞いて理解することや意思疎通が困難な障がい者に対し、絵や写真カード、コミュニケーションボード、タブレット端末等のICT 機器の活用、視覚的に伝えるための情報の文字化、質問内容を「はい」又は「いいえ」で端的に答えられるようにすることなどにより意思を確認したり、本人の自己選択・自己決定を支援したりする。

○ 通常、口頭で行う案内を紙にメモして渡す、口頭の指示だけでは伝わりにくい場合に指示を書面で伝える。

○ 紙の資料への記入の依頼時やノート等に書き取りをする際に、記入方法等を本人の目の前で示し、又は分かりやすい記述で伝達する。本人の依頼がある場合には、代読や代筆といった配慮を行う。

○ 抽象的な言葉や比喩表現等が苦手な障がい者に対し、具体的な言葉を使ったり、比喩や暗喩、二重否定表現などを用いないなどして説明を工夫する。

○ 障がい者から申出があった際に、ゆっくり、丁寧に、繰り返し説明し、内容が理解されたことを確認しながら応対する。また、なじみのない外来語は避ける、漢数字は用いない、時刻は24 時間表記ではなく午前・午後で表記するなどの分かりやすい配慮を念頭に置いたメモを、必要に応じて適時に渡す。

○ 障がいのある児童生徒の中で移動範囲や活動量が制限されている者に対し、ICTツール等を活用し、コミュニケーションや体験・参加を補助する。

○ 弱視等の視覚障がいのある児童生徒に弱視レンズ等を活用し、聞こえにくさのある児童生徒に補聴器機等を活用する。

(ルール・慣行の柔軟な変更の具体例)

○ 順番を待つことが苦手な障がい者に対し、周囲の者の理解を得た上で、順番を入れ替える。

○ 立って列に並んで順番を待っている場合に、周囲の者の理解を得た上で、当該障がい者の順番が来るまで別室や席を用意する。

○ 板書、スクリーン等がよく見えるように、黒板やスクリーン等に近い席を確保する。

○ 車両等での送迎が必要な際に、乗降場所を校舎等の出入口に近い場所へ変更する。

○ 学校行事等において、適宜休憩を取ることを認めたり、休憩時間を延長したりする。

○ 敷地内の駐車場等において、障がい者の来校が多数見込まれる場合は、通常、障がい者専用とされていない区画を障がい者専用の区画に変更する。

○ 移動に困難のある障がい者を早めに入場させ席に誘導したり、車椅子を使用する障がい者の希望に応じて、決められた車椅子用以外の席も使用できるようにしたりする。

○ 他人との接触、多人数の中にいることによる緊張により、不随意の発声等がある障がい者の場合は、緊張を緩和するため、当該障がい者や付き添い者に説明の上、障がいの特性や施設の状況に応じて別室を準備する。

○ 聞こえにくさのある児童生徒の外国語のリスニングの際に、音質・音量を調整したり、文字による代替問題を用意したりする。

○ 定期試験等において、本人又は保護者の希望、障がいの状況等を踏まえ、別室、試験時間の延長等を認める。

○ 成績評価において、公平性を損なわない範囲で柔軟な評価方法を検討する。

○ 授業中、記録をとることが難しい児童生徒にIC レコーダー等を用いた授業の録音、板書の写真撮影を認める。

○ 授業で使用する資料を事前に提供し、事前に一読するなどの時間を与える。

○ 感覚過敏等がある児童生徒に、サングラス、ノイズキャンセリングヘッドフォンの着用を認める。

○ 拡大文字、音声読み上げ機能を使用して学習する児童生徒のために、授業で使用する教科書や資料及び問題文を拡大したもの又はテキストデータを事前に渡す。

○ 知的発達の遅れにより学習内容の習得が困難な児童生徒に対し、理解の程度に応じて、視覚的に分かりやすい教材を用意する。

○ 知的障がいのある児童生徒の体育の際に、ルールの変更や簡易化を図る。

○ 肢体不自由のある児童生徒に対し、体育の授業の際に、上・下肢の機能に応じてボール運動におけるボールの大きさや投げる距離を変える。走運動における走る距離を短くする。スポーツ用車椅子の使用を許可する。

○ 日常的に医療的ケアを要する児童生徒に対し、本人が対応可能な場合もあることなどを含め、配慮を要する程度は個人差があることに留意して、医療機関や本人が日常的に支援を受けている介助者等と連携を図り、個々の状態や必要な支援を丁寧に確認し、過剰に活動の制限等をしないようにする。

○ 慢性的な病気等のために他の児童生徒と同じように運動できない児童生徒に対し、運動量を軽減する、代替となる運動を用意するなど、病気等の特性を理解し、過度に予防又は排除をすることなく、参加するための工夫をする。

○ 治療等のため学習できない時間が生じる児童生徒に対し、補講を行うなど、学習機会を確保する方法を工夫する。

○ 見え・読み・書き等に困難のある児童生徒のために、授業や試験でのタブレット端末等のICT 機器の使用を許可する。筆記に代えて口頭試問等による学習評価を行う。

○ 発達障がい等のため、人前での発表が困難な児童生徒に対し、代替措置としてレポートを課したり、発表を録画したもので学習評価を行ったりする。

○ 学校生活全般において、適切な対人関係の形成に困難がある児童生徒のために、能動的な学習活動等においてグループを編成するときには、事前に伝え、場合によっては本人の意向を確認する。また、こだわりのある児童生徒のために、話合いや発表等の場面において、意思を伝えることに時間を要する場合があることを考慮して、時間を十分に確保し、又は個別に対応する。

○ 実験実習などでグループワークができない児童生徒や、実験の手順や試薬、設備・機器の操作を混同し、作業が危険な児童生徒に対し、個別の実験時間や実習課題の設定、個別のティーチング・アシスタント等を付ける。

 

第8 その他の留意事項

1  障がい者と接する際には、それぞれの障がい特性に応じた対応が求められる。また、障がいのある児童生徒については、成人の障がい者とは異なる支援の必要性がある。

こうしたことを踏まえ、個々の児童生徒の障がいの状態や発達段階、個性等に応じ、適切な支援を行うことが重要であることに留意する必要がある。

合理的配慮については、障がいのある児童生徒及び保護者との間で、以上のようなことを考慮しつつ合意形成を図った上で提供すること、また、合意形成後も、児童生徒一人ひとりの発達の程度、適応の状況等を勘案・評価しながら柔軟に見直しを行うことが重要である。

2  対応要領は、法第7条に規定する「行政機関等における障害を理由とする差別の禁止」に関し、職員による取組を確実なものとするため、職員が適切に対応するために必要な事項を定めるものであり、基本指針では、対応要領は「行政機関等が事務・事業を行うに当たり、職員が遵守すべき服務規律の一環として定められる必要」があるとされているところである。

一方、学校は、障がいのある児童生徒と障がいのない児童生徒が、互いに正しく理解しあい、共に助け合い、支え合って生きていくことの大切さを学ぶ場でもあり、全ての児童生徒に対して法の趣旨の普及を図るとともに、障がいに関する理解を深めることが重要である。

こうしたことから、児童生徒間で障がいを理由とする差別に関する問題等が生じた場合には、単に職員自身が誤った対処をしなければよいというものではなく、障がいに関する理解が不足している児童生徒がいれば、適切に教え導くべきことが当然であり、また、重要である。

3 法では「全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現」を目的とし、国民には「障害を理由とする差別の解消の推進に寄与するよう努めること」が求められている。こうしたことを踏まえると、学校においては、職員のみならず、全ての児童生徒及びその保護者に対して、広く意識啓発を行うことが重要である。

4 対応要領では、各学校において特別支援教育コーディネーターが障がい者差別解消の推進を行い、特別支援教育にかかる校内委員会を設置することとしている。これらは、相談者から相談等があった時の対応のみならず、校内研修の企画・運営等(例えば、学校独自に障害者差別解消法に関する研修や先進校の視察を企画)、校内委員会にあっては障がい者である児童生徒の実態把握や支援方策の検討(例えば、障がいのある児童生徒の実態を把握し、意思の表明に関わらず、適切な支援を検討)など、日頃からそれぞれの役割・機能を十分に発揮する形で継続的かつ活発に活動することが期待される。

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