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春と秋の「川を愛する週間」

更新:2023年07月 7日

河川清掃1 河川清掃2

佐賀市の河川等の特徴

佐賀市は、筑後川や嘉瀬川等下流部の沖積平野を中心に発展した都市で、南部の標高は1m程度、市域中心部の佐賀城跡でも4m以下の低平地であり、河川やクリークの水は、干満の差が最大6mの有明海の潮位に左右されます。さらに、背後に高い山地を有しないため、昔から「降れば洪水、晴れれば干害」といわれ、水の確保と排水に苦労してきた土地です。

特に、農業用水の不足は深刻な問題であり、水の不足を補うため、総延長2,000キロにも及ぶ水路やクリークが網の目のように配置されています。また、江戸時代初期には、佐賀藩によって城下町に嘉瀬川の水を運ぶ河川や水路が整備され、多布施川を経由して城下町の隅々まで水路網がいきわたっています。このため、日常の風景に水辺が存在し、佐賀市民に心のやすらぎやうるおいを与えています。

これらの水辺は、水生生物や野鳥などが集まる場にもなっており、全国的に絶滅が心配されている貴重な生き物も、数多く生息しています。一方で、低平地にある川は勾配が極めて小さく、流れは緩やかで、底に土砂が少しずつ堆積します。水草があると流速がさらに遅くなるため、定期的な土砂や水草等の除去が欠かせません。人為的な管理を怠ると、徐々に川底が上がり、水が淀んで悪臭や虫などの発生につながり、生活環境を悪化させるとともに、水辺の生態系にも悪影響を与えてしまいます。

河川清掃の歴史

戦前までの河川や水路、クリークは、飲料水に生活用水、農業用水や火災時の消火用水として利用され、また、豪雨のときは遊水地となり、反対に干ばつのときには、水飢饉を防ぐ貯水池の役割を担っていました。日々の暮らしに身近で大切な存在であり、人々はその維持管理に関心が深く、定期的に清掃するなど、水をきれいに保つ努力をしてきました。

しかし、戦後、上水道の普及や農業用の幹線水路の整備によってその役目が失われ、水路・クリークは手入れがされず、次第に汚れていきました。昭和30年代から都市化とともに荒廃が著しくなり、昭和40年代から昭和50年前半にかけて、水路の汚濁はピークとなりました。公共下水道がまだ普及しない中、生活排水が直接水路に流れ込み、ヘドロが堆積し、淀み、ゴミが溜まり、悪臭を発し、人々は蚊の大量発生に悩まされていました。

その状況をみかね、青年会議所と若手住民約100名のボランティアが立ち上がり、昭和55年に松原川で河川清掃を行ったことを契機に、市内の他の水路でも清掃活動が始まりました。同年、市長が「この問題に行政も全力で取り組むが、どうしても市民の協力が必要である」と訴え、各界各層の代表者が集まり佐賀市水対策市民会議が発足。「昔の清流を取り戻す」ことを目標に、昭和56年から春と秋の「川を愛する週間」を設定し、現在まで40年以上続く市民総出の河川清掃が始まりました。

S50年代の川(十間堀川) S50年代の川(神野町三溝)

河川清掃の成果

春は4月頃、秋は10月頃、毎年約9万人の人が参加する「川を愛する週間」では、市民が川掃除を行い、佐賀市が清掃道具の貸出と河川ごみの回収・処分を行っており、自治会・事業所・学校・個人などさまざまな立場の人たちが市と協働して河川清掃に取り組んでいます。「自分たちのまちは自分たちできれいにする」と、長きに渡って取り組んできた成果は、水路の水の浄化としてあらわれており、下水道の普及が進んだことも影響し、市内の水路の水質は大幅に改善されています。

佐賀市では、きれいになった市街地の川を利用して、毎年夏に「多布施川水遊び場」が開設されており、期間中は一日中歓声と水しぶきをあげる子どもたちで賑わっています。また、佐賀の貴重な財産であり、魅力でもある水路・クリークを活用した市民発信による水辺イベントも行われています。

河川清掃は、このような水辺に親しむ場所の保全につながるだけではありません。近年の豪雨による浸水被害を軽減するため、流水を阻害する河川ごみ・水草の除去の必要性がこれまで以上に増してきており、治水対策としてとても大きな役割を果たしています。

河川清掃の必要性

河川や水路・クリークは、雨水排水・農業用水・消火用水などでわたしたちの生活に欠かせない存在であり、住民みんなでその恩恵を享受しています。しかし、網の目のように張り巡る水路の維持管理は、行政のみでは難しく、市民の協力が不可欠です。市も道具の貸出・ごみの処分だけでなく、一市民、一事業所として河川清掃に取り組んでいます。この問題は、市民・事業者・市が一体となり、佐賀市をあげての取り組みが必要です。

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このページに関するお問い合わせ

建設部 河川砂防課 維持係
〒840-8501 佐賀市栄町1番1号 本庁5階
電話:0952-40-7182 ファックス:0952-26-7388
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