こどもは社会の宝(2014年7月1日)

更新:2017年03月 9日

こどもは社会の宝

夫の暴力などが原因で妻が家を出た。

仕方なく、夫が子どもの面倒を見ることになるが、父親であるその夫も、やがて週に1、2度しか家に帰らないようになった。

外部から閉ざされたその家には、あばら骨が浮かび上がるほどに痩せこけ、パンの袋も開けられないほどに衰弱していく5歳の子どもが残されていた。

仕事と育児に疲れた父親の為せる業だが、父親が久しぶりに家に戻ると、そこには、「パパ・・・」と消え入りそうな声を絞り出すようにして訴える「わが子」の姿があった。

その姿を見て、恐ろしくなった父親は逃げ出してしまった。

白骨化したこの子が見つかったのは、死亡から約7年半後の誕生日だったという。

これは新聞で報道された、厚木市の保護責任者遺棄致死容疑で逮捕された父親の供述から浮かび上がった育児放棄の実態である。

6月の定例佐賀市議会では人口減、少子化対策、子育て対策に関する質問が多かった。

議論の中で、「市全体で何とか対応をしなければ」と決意を新たにしたばかりなのに、このような新聞記事を見るとやるせなかった。

この報道を読んで疑問に思うことが二つあった。

一つ目は、まずこの子の両親に対して。

子育てに行き詰まった時に行政とか親せきとか、なぜ周りに相談しなかったのか。

10年前の話といえども、全国どの自治体にも子育ての相談体制はある程度整っていたはずである。

二つ目は、行政を含めて周りがこの異変に、どうして10年近くも気付かなかったのか。

ひょっとしたら、この子は10年前に助けることができたのではないかとさえ、私は思った。

最大のチャンスがあった。

この子は、3歳4か月の頃の平成16年10月、早朝4時半頃にTシャツとオムツ姿で路上にいるところを近所の人が見つけて警察に保護されていたのである。

この子は、その頃SOSを発信していたのである。

この騒動では、母親が翌日引き取りに来たということだが、その時、母親はDV被害の相談もしたそうだ。

それなのに、10月の朝4時半に靴もはかないTシャツでおむつ姿の子どもが路上に一人でいたというのに、関係した誰もが、その「異常さ」を掘り下げて調べようとせず、「迷子」として処理してしまった。

この子の祖父母も心配しなかったのだろうか。

同じ市内、県内に住んでいたというではないか

この子がSOSを発したあの時点で、この子の親族や、この子の周りに住む人、接した人の誰かが、眼の前の出来事に疑問をもち、その裏に潜んでいるものを探そうとしてくれていたら、この子は死なずに済んだに違いない。

行政の立場で、私たちはこの事件からいろんなことを教えられる。

まずは、子育て相談窓口を形式的に開設するだけでなく、その存在を市民に知ってもらい、気軽に相談できる体制を築くこと。

次に、担当者は広く問題意識をもつこと。

できるだけ広く情報を共有し、関係する他の機関と連携し「自分のこと」として突っ込んだ対応をすること。

これを機会に最近の佐賀市の取り組み状況を担当課に尋ねてみた。

佐賀市では問題事案をできるだけ早くキャッチして、その対策を検討するために、「要保護児童対策地域協議会」を開催して情報の共有化を図っている。

「節目の健診を受けない」とか「虐待ではないか」などいろんな情報をもとに、関係する実務者で協議しているし、必要なケースにあっては、立ち入った指導もしているとのこと。

それ故、ときには、保護者からすごい剣幕で逆襲されることもあるとのことだった。

神奈川県厚木市のこどもの死を無駄にしてはいけない。

こどもは社会の宝である。

みんなで支えよう。

このページに関するお問い合わせ

総務部 秘書課 秘書係
〒840-8501 佐賀市栄町1番1号 本庁2階
電話:0952-40-7020 ファックス:0952-24-3463
メールアイコン このページの担当にメールを送る