再 会(2014年4月1日)

更新:2017年03月 9日

再 会

桜は満開を過ぎたが、希望に満ちた春。

学校では、これから入学式が始まる。

半月ほど前に、通い慣れた中学校や小学校を後にした子どもたちが、間もなく新しい高校や中学校の門をくぐる。

子どもたちは新しい学校生活にもすぐに慣れ、勉強と部活に頑張ってくれるに違いない。

先月、私が4年3か月ぶりに再会した少年もその一人だ。

少年との再会は、市内の東部に位置する小学校の卒業式だった。

100名を超える卒業生の中に、その少年の姿はあった。

式が始まる前、卒業生の席に目をやると、来賓席のすぐ前の卒業生の中に障がいを持つ少年の姿があった。

左腕がなく、右足が義足である。

「手と足、ひょっとしてあの時の少年?」

顔は覚えていなかったが、4年3か月ほど前のことがすぐに思い出された。

私とその少年との出会いは、毎年12月に開催されるひょうたん島公園での「収穫祭」であった。

私も彼もその祭りから帰ろうとしている時で、彼は母親と一緒であった。

まだ小学2~3年生だろうか、自転車に乗ろうとしているが、その動きのぎこちなさが目にとまった。

片手でハンドルを握っていた。

「片手だけで?」

「もう一方の手は骨折でもしていて、三角巾で腕を吊っているのかな」と思い、もう一方を見ると腕が見えない。

「片手でたいへんだね」と言いながら、足に目をやると片方の足には補装具が付いている。義足のようだ。

私は「交通事故にでもあったの?」と尋ねたら、少年は「いや生まれつきです」といやな顔もせずに答えてくれた。

私は、少年にとって「一番つらいこと」を尋ねてしまったという「申し訳なさ」を感じながら、「そうだったの、自転車乗りもたいへんだね。けれども、頑張ってるね、自転車の乗り方、上手だよ、これからも頑張ってね」と励ましながら、少し離れたところで、ほほ笑みながらわが子を見守られていた彼の母親に軽く会釈をして別れた。

別れた後、前を行く母の自転車を一所懸命に追う少年の自転車の姿は「ぎこちなく」ではなく「巧みに」へと変わっていた。

私も家に帰って片手、片足で自転車に乗ってみたが難しいものである。

それから約一か月後、この少年のお父さんと偶然にも仕事でお会いする機会があった。

交通安全の会議の席だったが、彼のお父さんと向かい合わせの席になった。

もちろんお互い初対面であったが、「収穫祭のとき、息子に励ましの言葉ありがとうございました」と、先にお礼の言葉を彼のお父さんからいただいた。

「この方が、あの少年のお父さん…」と出合いの不思議さを感じるとともに、このお父さんの言葉で、あの時、少年に対して「つらい質問をしてしまったのではないか」という、私の胸のつかえが下りた。

あれから4年3か月。

卒業式での少年の動きは、ステージへの階段の上り下り、卒業証書の受け取り、どれをとっても「障がい」を感じさせなかった。

二重のハンディを負いながらもこんなにたくましく育った少年に再会した私は、目が潤み、さわやかなものを感じた。

彼がステージで一言の「抱負」を語ったとき、私は「やったね」と心でエールを送った。

これまで慈しみ育ててこられたご家族をはじめ学校、地域のみなさん本当にご苦労さまでした。

中学校でもがんばってください。

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