令和2年度人権啓発
ポスターコンクール優秀作品
あなたの人権 わたしの人権
「高齢期の『幸せ感』とは」
唐突ですが、皆さんはどんな高齢者になりたいですか?「高齢者」のイメージを考えたとき、よいイメージばかりではなく、高齢期には体の機能が低下したり、大切な人を亡くしたりなど、さまざまな喪失を経験することもあります。では、高齢期は「不幸」なのでしょうか?
1989年、スウェーデンの社会学者が、85歳以上の超高齢者が持つ「老年的超越」という精神世界を提唱しました。それまでの価値観が、「宇宙的、超越的なもの」に変わり、死の恐怖が薄らいだり、他者を重んじる気持ちが高まったりする状態とされます。以前とは違う穏やかな「幸せ感」を抱く人が多いといいます。
日本でも、「老年的超越」が裏付けられており、70代までは、できないことが増え、不安になりがちですが、85歳以上になると、できることが減っても悔やまず、ひとりでいてもさほど孤独を感じず、周囲への感謝の気持ちが高まりやすい心の状態に自然と変化していくことが多いそうです。
高齢者を支える側は「まだまだ元気で頑張って」と活動的に過ごすことを押しつけがちですが、それが本人の幸せ感をじゃましてしまうこともあると専門家は指摘します。
もちろん、幸せは主観的なもので、この分野の研究はまだわからないことも多いのですが、そういう状態があるのを知ることは、介護など、高齢者を支える上でも新しい視点になるのではないでしょうか。
(社会同和教育指導員)
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