会長あいさつ
佐賀平野は、繰り返し行われてきた干拓によって、広大で平坦な地形に恵まれ、古くから稲作が盛んで、九州でも有数の穀倉地帯です。水を有効活用しようと、多くのクリーク・水路が縦横に張り巡らされており、そこでは多種多様な生き物が育まれ、自然豊かな水辺空間を形成しています。
一方で、わたしたちには「水」と闘い、共存してきた歴史があります。北に位置する山は浅く、広大で平坦な佐賀平野の入り組んだクリーク・水路に十分に水を流すだけの能力がありません。また、低平地で有明海の潮汐の影響を受けやすいため、降った雨が順調に排水されない場合があります。このため、「降れば洪水、晴れれば干害」と言われるほど、昔から水害・干害が頻発しており、限りある水資源を市内全体で分け合って活用してきました。社会の近代化と治水の進展により安全性は格段に高まり、農業は飛躍的に発展しましたが、生活の中で水路を利用する頻度が減り、水への関心が失われていきました。
かつて、水路は飲料水や洗濯などの生活用水として使われ、人々は定期的に草や藻を刈り、泥を浚って崩れた土手を直していました。昭和30年代から上水道の整備などにより都市化が進むにつれて、水路は住民から放置され、泥土は溜まって徐々に淀みだし、住民のやっかいものとなっていきました。
佐賀市水対策市民会議は、荒廃した河川を憂い、昔の清流を取り戻そうと昭和55年に発足されました。40年以上の長きに渡り市民総参加の河川清掃が行われてきたことで、下水道の整備と相まって今の川は見違えるほどきれいになりました。率先して引っ張っていただいた地域のリーダーのみなさん、汚れた川に入って鎌やスコップを振ってくださった住民の方々には、感謝の念が堪えません。
しかし、高齢化の進展は顕著で、河川清掃も例外ではなく、その活動の継続が難しくなってきています。
市民会議では、今後さらに高齢化が進行する中で、わたしたちが作り上げてきた佐賀の誇れる水環境を維持していくため、自治会や事業所、教育機関等の各方面に協力をお願いしながら、河川浄化の市民運動を展開してまいります。市民のみなさんも河川にこれまで以上に関心を持っていただき、この活動にご支援を賜りますようお願いいたします。
佐賀市水対策市民会議 会長 山﨑日出男
委員の紹介・会則
※令和6年7月17日現在
会議実施状況