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『エイジズムとは』
「いい年だからもう引退したら」「年がいもなくそんな格好をして」「年のわりにすごいね」などと言われた記憶、言った記憶はありませんか。若い人に向けては「最近の若者は」とひとくくりにした経験はないでしょうか。
年齢や世代を理由とした固定観念や偏見を持つことをエイジズムといいます。日本ではまだなじみが薄い言葉ですが、1969年にアメリカの老年医学者ロバート・バトラー博士が提唱した言葉です。人種差別、性差別に続く第3の差別とも言われています。
世界保健機関(WHO)は、エイジズムは、3つに分類されるとしています。
第1に、年齢を理由に不当に機会を制限し、不利益を与える制度や社会規範など。第2に、対人関係で生じる年齢や加齢についての冗談や、高齢者への虐待など。第3は、自分自身に向けて生じるもので、「もう年だから」と自らの行動を制限し、自尊感情が低くなることです。
高齢者に対して「生産性がなく経済の重荷だ」と考えることや、若い人は経験が浅いからと若者の意見を軽視したりするのもエイジズムです。
エイジズムを乗り越えるために活動するアメリカの専門家アシュトン・アップルホワイトさんはこう述べています。
「エイジズムはすべての年代に向けられます。自分の固定観念を自覚し、その人の個性を尊重すること。年齢は多様性の判断基準のひとつです。『色めがね』にとらわれることなく、一人一人に向き合ってください。エイジズムを乗り越えた世界では若者も高齢者も、誰もがチャンスを活かせるでしょう。」
少子高齢化が進む私たちの社会ですが、高齢者が多い社会は、知恵と経験が豊富な人が多い社会とも言えます。誰もが自分らしく生きられる社会に向けて、まずは自分の心の中の思い込みに目を向けたいものです。
(社会人権・同和教育指導員)
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