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子育て応援コラム(令和6年10月号)

更新:2024年10月 8日

子育て応援コラム「アタッチメント」 No.20 令和6年10月号

「自己肯定感とは、他者の評価によって影響されず、ありのままの自分の存在をOKとする感覚。子どもが自己肯定感を獲得できるために、どんなふうに接したらいいのか、そもそも親自身が自己肯定感を持てていないのに、それが可能なのか、など疑問もありますよね。次回は、そこをテーマに一緒に考えていきたいですね。」と、9月号のコラムで書きました。今月号は、その続きとなります。

さて、実際、「ありのままの自分の存在を良しと思えている人」ってどれほどいるのでしょうか。悩むことのない人、成長をやめた人という捉え方もできそうですが、それを自己肯定感と捉えるのは危ういですね。慎重に表現したいところですが、「人と比較しても仕方ないと分かりながらも、人と比較して落ち込んだり、悩んだりする自分」や「より良い親になろうと思いながらも、実際は同じことを繰り返して、情けなく思っている自分」も自分の一部であり、自分のダメさを、まあ、仕方ないかと、受け入れることと言えばいいでしょうか。「え?それを自己肯定感と言っていいの?」という声が聞こえてきそうです。「はい、ダメな自分も含めて、まあ、いいかと思えることができれば十分です。」とお答えしたいです。

小学生の頃、「絶対、誰にも負けない所はなんですか?」と先生に訊かれて、「ピアノ」とか「疾く走ること」と誇らしく答える友達の姿を見て、自分には友達に負けないところなんて何一つないなと思ったことありませんか?私は、その質問は嫌だなと感じていました。なぜなら、私には重度障害児の弟がいて、弟は歩けない、話せないけれど、大好きな存在で、「〇〇できる」という能力の高さで人の価値を測らないで欲しいと思っていました。

決して、周囲と切磋琢磨して、高みを目指して努力すること、頑張ろうとすることそのものを否定しているのではありません。結果に限らず、その前向きな姿勢がその人らしさです。ただ、生きていると、時には、目標を見失い、気力が湧かず、悔しくて悲しくてやるせなくなる自分にも出会います。それも、また自分。どうか、こんなダメな自分は存在しない方がいいと切り捨てないでください。そんな自分も労って欲しいのです。「大丈夫、そんな時もあるよ。どんなあなたでも、私はあなたが好きだよ。」と自分に声をかけてくださいね。ああ、そうですね。自分の心の中に、自分の親友を作るという感じでしょうか。その自分を労われる心の動きが、我が子に向けられた時、「大丈夫、そんな時もあるよ。」というメッセージが、子どもの心へ届く力を持つように思えます。そう、まずは、自分を許せるようになることから。

私たちは、案外、自分に厳しいのです。それは、「自分は他者より劣っている。だからダメだ」と思わされる経験をいっぱいしてきた裏返しかもしれません。ある集団内で自分は優れていると思っていても、別の集団に変われば、自分よりもっと優れた人に出会い、自分は大したことない存在だと思う経験を重ねてきていませんか?長い歳月をかけて浴びてきた優劣の比較の呪文によって、私たちは、自分のありのままの良さを自分で良しと思える機会を奪われてきたのかもしれません。それを無意識に我が子に繰り返してしまうのは、避けたいですよね。

本来、一人一人が唯一無二のかけがえない存在で、日々、ささやかでも幸せを感じるために、私たちは生きています。誰も本質的に幸せにしない「比較の呪文」に縛られない生き方を、子育てを通して徐々に取り戻していけたらいいなと願っています。

こども・子育て支援専門アドバイザー 田口香津子

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